注意力散漫、移り気、そそっかしくて人の話を聞かない…ADHDの「弱点」が「能力」になる 『スマホ脳』著者が意見 和田秀樹も納得[新書ベストセラー]

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 4月22日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』、第2位は『やりたいことは全部やりなさい 最後に後悔しない25のヒント』、第3位は『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』が獲得した。

 4位以下で注目は今週5位に初登場の『多動脳 ADHDの真実』。2020年に発売された『スマホ脳』(新潮社)が大ヒットとなったスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏の最新作。「注意欠如・多動症」と呼ばれるADHDの特性に光を当て、最新の知見をもとにネガティブに語られがちだったADHDの“強み”を解説した異色の一冊だ。ハンセン氏は、ADHDにみられる特性は人類の進化の過程で必要とされたものであり、単なる問題だけはなく、可能性でもあると訴えている。

 自身もADHDであることを公表している精神科医の和田秀樹さんは、同書の書評で《私が本業の精神科医以外に文筆業、教育産業の経営、映画監督などを行い、それを多才と言ってくださる方もいるのだが、そうではなく、一つの仕事をやっているとすぐに飽きてしまうので、ほかの仕事につい手が伸びてしまうだけだ。 それが若いころは「強み」とならなかった。》と自身の経験を語る。しかし60歳を超えた今では、人から「やりたいことがたくさんあって、うらやましい」と言われるようになり、さらに《高齢になり、会社などの組織を離れたら、ADHD的な人の方がけっきょく強いのではないかと私は考えるようになったが、変化の速い時代にはADHD的な人が適応的なのは確かだろう。変化に次々対応できるからだ。》と述べている。そして最後に、《変わり者を嫌う日本で、このADHDの強みが受け入れられれば、日本という国も新たな進歩へ向かうのでは、という望みを強く感じた一冊だった。》と結んでいる。

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1位 『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』 鶴見太郎[著](中央公論新社)

ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。5大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。3000年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。(中央公論新社ウェブサイトより)

2位 『やりたいことは全部やりなさい 最後に後悔しない25のヒント』 森永卓郎[著](SBクリエイティブ)

最後に後悔しない25のヒント。若い世代へ遺したラストメッセージ。貯める・増やすよりも豊かになる本当の生き方。私は、「やりがいだけのために生きる」ことこそが、真の幸福だと確信しています。資本の奴隷として、金銭的な豊かさを追い求め続けても、ただ疲弊するばかりで、その先に幸せな人生はありません(「はじめに」より)。経済アナリスト・森永卓郎が次世代へ向けて語った、お金と人生の本質。(SBクリエイティブウェブサイトより)

3位 『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』 成田悠輔[著](文藝春秋)

お金の夢から醒めろ株価も仮想通貨も過去最高値を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。お金や市場経済はどこへ向かうのか? この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか? 現実とも虚構ともつかない未来像を立ち上げる経済学者・成田悠輔の本領発揮! 貯金と投資なんかで夢見てる場合じゃない。凝り固まった思考を叩き割る社会構想の誕生を目撃せよ。(文藝春秋ウェブサイトより)

4位 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 三宅香帆[著](集英社)

5位 『多動脳 ADHDの真実』 アンデシュ・ハンセン[著] 久山葉子[訳](新潮社)

6位 『この国でそれでも生きていく人たちへ』 森永卓郎[著] 森永康平[著](講談社)

7位 『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』 NHKスペシャル取材班[著](NHK出版)

8位 『沈む祖国を救うには』 内田樹[著](マガジンハウス)

9位 『日本経済の死角―収奪的システムを解き明かす』 河野龍太郎[著](筑摩書房)

10位 『人生の壁』 養老孟司[著](新潮社)

〈新書ランキング 4月22日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2025年4月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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