【産経BOOKS】『オール沖縄 崩壊の真実』仲新城誠著

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■国の安全保障政策に反対した「極めて特異な地方権力」の興亡

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の全面返還に、日米両政府が合意してから12日で29年を迎えた。返還が実現しない理由について、玉城デニー知事は前日の記者会見で、政府が名護市辺野古移設を「唯一(の解決策)」として固執しているからだとの見解を示した。辺野古移設阻止を看板政策に掲げる玉城知事が旗幟(きし)を鮮明にした形だ。

だが、玉城氏の支持基盤は県議選や首長選での相次ぐ敗北により弱体化している。本書は、翁長雄志前知事とその後継の玉城知事を支持する「オール沖縄」勢力の興亡史。

「オール沖縄」とは何か。地方紙・八重山日報の論説主幹である著者の定義はこうだ。「日本政府の外交・安全保障政策に反対することを県政運営の主目的に据えた、極めて特異な地方権力」。具体的な事例が満載だが、とりわけ県庁内で各課にまたがっていた事務を一元化した「辺野古新基地建設問題対策課」の新設には驚かされる。地方自治体が、国の安全保障政策を妨害するために設けた組織だ。「県民の血税が『反基地』のブラックホールに吸い込まれていく」との記述に慄然とする。

国防最前線を翻弄し続ける反基地権力。わが国の安全保障を考える上で避けては通れない一冊だ。(産経新聞出版・1870円)

産経新聞
2025年4月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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