決断できない…優柔不断な自分を変える方法や決めた後に後悔しないコツを紹介 『決めることに疲れない 最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣』試し読み

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なかなか決められない…(写真はイメージ)

 生きることは、決めること。毎日の生活は「決断」の連続――。

 起きてから寝るまでに、人は1日に3万5000回も決断しているとも言われている。小さなことから大きなことまで、毎日、決め事に追い立てられ、現代人は疲弊する一方だ。その疲れから解放されるためには、「決め方」そのものに変化をもたらせばよい。

 世界中で行なわれている最先端の研究成果を使って「決めごとだらけの日々をすこやかに過ごすためのコツ」をまとめた『決めることに疲れない 最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣』から、書籍の一部を公開する。

ルールに沿って決断する

 自分の中でそこまで重要視していない選択について、あらかじめルールを決めてしまうという考え方は、とても有効です。
私の場合、食べることは好きでも、人生の豊かさに直結するような重要な要素とまではなりません。ですが、初めて入ったお店だとやっぱりどのメニューにしようか迷うし、できれば美味しいものに出会いたいと思ってしまいます。
 そのため迷ったときは「シェフのおすすめ」か、その店の「看板メニュー」しか頼まないと決めています。
 つまらない奴だなと思われるかもしれませんが、これならめったにハズレがありませんよね。食べている最中に「失敗したな」などと自分の決断にガッカリしないためのリスクヘッジとして、定番・オーソドックスなものをチョイスするようにしているのです。自己決定をすることが幸福度を高めるという研究もあります。
 こうしたルールに沿った決断は、自分のポリシーに基づいた決断であり、失敗したとしても、後悔がほとんどありません。「決め方のルール」をあらかじめ決めておく。ぜひ試してみてください。

行動をパターン化してストレス回避

 決め方のルールを作るのに、おすすめしたいのが、「イフ・ゼン・プランニング」と呼ばれるセルフコントロール術です。
 これは、「もし(if)◯◯が起きたら、そのときは(then)××する」と、台本をあらかじめ用意しておくというものです。前頭前皮質に機能障害をきたしている患者にも有効と言われ、認知脳科学の分野でも応用されています。
「もしラーメン店に入ったら(if)」→「食券機の一番左上が人気メニューだから、左上の商品を選ぶ(then)」
「もしAとBの洋服で迷ったら(if)」→「ウエストに余裕がある方を選ぶ(then)」
「もし睡魔に襲われたら(if)」→「その時点で、15分間目をつむって休む(then)」
これが「イフ・ゼン・プランニング」です。
 ドイツ・コンスタンツ大学のアヒトジガーらは、「イフ・ゼン・プランニング」を使った実験を行っています。学生を対象に、「もし私が選んだ〇〇(高カロリーな食べもの)を食べたくなったら、そのことを忘れる!」と、3回唱えさせ、1週間後に、どれくらいそれを食べたかを調べたのです。
 その結果、「イフ・ゼン・プランニング」を実践した学生は、実践していない学生に比べ、食べた量が半分近くまで減っていたといいます。
「絶対にそうする」というパターンを決めてしまえば、脳や体はスムーズにアクションしやすくなります。仕事の場合でも、「もし〇〇をやるときは、必ずここを注意して、終わったあともチェックする」というように行動を決めておくと、よく起こりがちなミスやストレスを回避しやすくなったりします。あらかじめ台本を作っているわけですから、仮にその決断に納得がいかなくても割り切りやすくもなるというわけです。

尊敬する人を真似してみる

 判断に迷う、どっちつかずで立ち往生してしまう……。そうしたときは、目標を実現している人や尊敬している人の行動を「コピー」するのも一つの手です。
 尊敬する人が選ぶだろう選択を真似するのです。
 ペンシルバニア大学のメーアらは、1000人以上を対象に運動習慣と目標達成に関する調査を行いました。
(1)運動をするための新しいアイデアを学ぶ準備をするよう指示され、でも具体的なアイデアは与えられなかったグループ
(2)運動を促すための特別な指示は受けず、ただ一般的な運動に関する情報だけを与えられたグループ
(3)運動習慣をつけることに成功している身近な人の目標設定と達成の方法をそのまま真似したグループ

 3つのグループのうち、(3)のグループの被験者は運動習慣が身に付き、目標を達成しやすくなる傾向が見られたといいます。
 この調査は運動習慣に限定したものですが、私自身、強く共感できるところがあります。実は、アメリカの大学院時代に、目標であり、あこがれであった優等生の先輩に、食事の時間から図書館に出入りする時間まで合わせたことがありました。つまり、先輩のスケジュールをコピーし、ともに行動することを心がけたのです。
 それだけではなく、何か判断で迷うようなことがあっても、「先輩だったらどうするだろうか?」と想像し、「よし、先輩ならきっとこうするはずだ」と選択していった結果、どうしようもないほどの私のなまけグセはなくなり、勉強に打ち込めるようになりました。そのおかげで同学年の留学生では最年少だった私が、最速で博士号を取得できました。目標でありあこがれである人をコピーしたから、今があるんですね。
 また、コーネル大学のアナリティスらの研究によると、1万4000人を対象にした調査結果で、「好きな人の選択を真似する場合」と「多くの人がした選択を真似する場合」では、「好きな人の選択を真似する場合」のほうが、パフォーマンスがよいということが明らかになっています(ただし、経験が少ないことに関しては、「多くの人がした選択を真似する場合」でもよい結果が得られることもわかりました)。
 迷いが生じたときは、自分が「かっこいい」とか「すごい」と思えるような人を真似てみるという視点を持ってください。あこがれている人の選択だと思えば、もし間違った判断だったとしても、自分に折り合いをつけやすいとも思います。

以上は本編の一部です。詳細・続きは書籍にて

堀田秀吾
明治大学法学部教授。言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな学問分野を融合した研究を展開。専門は司法におけるコミュニケーション分析。研究者でありながら、学びとエンターテイメントの融合をライフワークにしており、「明治一受けたい授業」にも選出される。また、芸能事務所スカイアイ・プロデュースで顧問を務めるなど、学問と実業の世界をつなぐための活動も続けている。プライベートでは空手、サーフィン、マラソン、近年はヒップホップやロックダンスにも挑戦中と、エネルギッシュな日々を送っている。主な著書に『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など多数。

新潮社
2025年5月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。

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