「そんな歳で妊娠させられるなんて…」不倫相手の60代男性を“高齢者ストーカー”に変えた一言とは? 専門家が語る解決策

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「その歳で妊娠させられるなんて…」女性の一言で高齢男性がストーカー化(※画像はイメージ)

 ストーカーは「若い粗暴な男」だけではない。高齢者だから落ち着いた大人の恋愛ができるなんて思ったら大間違い、手痛い目に遭うこともある。老若男女、500人を超えるストーカーに向き合ってきたカウンセラー、小早川明子氏の経験をもとにその心理を探る本企画、2回目の今回のテーマは「高齢男性ストーカー」である。小早川氏の著書『「ストーカー」は何を考えているか』をもとに見てみよう。

 諫める前にまず彼らの心理を知り、その怨念をなくしていく作業が、最悪の結果を招くことを防ぐ、というのだ。(以下、同書をもとに再構成。数字は刊行時のものです。全3回記事の2回目)

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増える高齢男性のストーキング

 最近の30代や40代の女性は、以前ほど結婚を意識しなくなっています。

 親子ほど歳が離れていても、人生経験と経済力と、ある程度の外見的若さがあれば交際にも抵抗がないようですし、頑張ってキャリアを積もうとしている女性には、若い男性より魅力的に見えるのかもしれません。

 そういう女性と話をすると意外なほど自己評価が低いもので、「男運が悪いから」とか「もう結婚は諦めているので」と言います。高齢男性と交際する女性は同情心が強いようで、好きでなくなっても離れられない。自分を大切にせず、相手を優先させてしまう。相手はそういう特性を巧みに利用しているのです。

 年上の上司に夫の問題を相談するうち、恋愛に発展するケースも少なくありません。「ご主人と別れたら、一緒になろう」などと言われ、それなりの恩義もあるのでキッパリ断れない人もいる。元の鞘(さや)に戻れば、「あんなに悪口言っていたのに何だ、人の心をもてあそびやがって」と糾弾されることになる。

 高齢の男性にとってはこの年代の女性との交際はあたかも天の恵みにも似て、そうそう手放すことはできない。女性は別れる時のことまでよく考えて交際しないと、とんでもないことになりかねません。

 警察庁の統計でも、60代以上の高齢ストーカーは2011年の1296件から2012年は1834件と、実に1.4倍に増えています。

ケース[1] 60代の「初恋」

 妻がいながら若い女性と交際していた60代後半の男性は、付き合って2年を過ぎた頃、女性宅で大量の薬を飲んで自殺を図りました。命に別状はなかったものの、悩んだ女性は相談にやって来ました。

「もう付き合いたくない、と言ったら、私の寝ている横で……」と声を震わせます。

 私が入院中の男性を訪ねて自殺を図った理由を聞くと、「妻とは腐れ縁、これが俺の初恋なんだ。その本気をあいつは分からない。どれだけ金をかけたか、俺にはもう何もない。別れられてたまるか」と言います。やがて男性は退院しましたが、妻は家から出て行ってしまい、若い恋人も引っ越していました。

 呆然として訪ねてきた男性に、私は「独りになってしまいましたね。死んだと思って生き直してはどうですか」とカウンセリングに誘いました。自殺未遂者を孤立させるのは危険なので、事務所の近くに越してくるよう勧めました。

 男性は素直に同意し、カウンセリングを兼ねてお茶を飲んだり散歩したり、近所づきあいが始まりました。最初のうちは夜ごと「一人は辛いなあ」という電話があり、昼は弁当を片手に「今頃あいつは新しい男といる。そいつは俺の宝を奪ったんだ!」とテーブルを叩いたりもしました。

 それでも、半年ほど経つと「あんたにまで迷惑かけるのはよくないなぁ」と言うようになり、年齢相応の落ち着きを取り戻してきました。

 高齢者のセラピーはなかなか難しいものです。セラピーはイメージ療法ですから、想像力も必要です。この男性もなかなかセラピーに入れず、時の経過を頼りに見守ることにしました。すっきりした解決ではないし、今も若い恋人の話はタブーですが、5年たって自然と近所のお友だちの一人になりました。

小早川明子(コバヤカワ・アキコ)
1959(昭和34)年生まれ。中央大学文学部卒。ストーカー問題をはじめDVなど、あらゆるハラスメント相談に対処するNPO法人「ヒューマニティ」理事長。1999年に活動を始めて以来、500人以上のストーキング加害者と向き合い、カウンセリングなどを行っている。

Book Bang編集部
2025年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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