ゲームに夢中な我が子の説得に俵万智さんが使った「絶妙なたとえ」とは SNS・AI時代の言葉について考察した新刊が1位[新書ベストセラー]

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 6月10日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『生きる言葉』が獲得した。第2位は『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』、第3位は『やりたいことは全部やりなさい 最後に後悔しない25のヒント』となった。

 1位の『生きる言葉』は俵万智さんが「言葉」について多角的に考察した一冊だ。俵さんは背景を知らない者同士がスマホやSNSで簡単に繋がれる時代だからこそ、言葉を使いこなす力が重要になってきたと説く。恋愛や子育て、SNSやドラマや歌会、AIやラップなど、多様な場面で様々な使われ方をする言葉を丁寧にすくいながら、言葉の面白さと奥深さを探っていく。

 俵さんは5月20日に放送されたテレビ朝日系列のバラエティー番組「夫が寝たあとに」に出演。子育ての大変さを前向きにとらえ直す「ポジティブ変換短歌」を紹介し、同じく子育て中の藤本美貴さんや横澤夏子さんの共感を呼んでいた。

『生きる言葉』にも子育てと言葉にまつわる章があり、その中で俵さんは、子どもがゲームをやめた理由について綴っている。俵さんは我が子にゲームをやりすぎないよう説得するにあたり、ゲームを食事におけるおやつにたとえて「おやつばかり食べていたら病気になってしまうよ」と説明。これにお子さんも納得した、という「言葉の力」が伝わってくるエピソードを披露している。さらに俵さんは、石垣島の大自然のなかで「めいっぱい遊ぶ」ことが、我が子の言葉を育てる土台になったのではないかとも考察。ゲームよりも、リアルな匂いや動き、痛みを体験することが、貴重な学びだったと同書の中で振り返っている。

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1位 『生きる言葉』 俵万智[著](新潮社)

スマホとネットが日常の一部となり、顔の見えない人ともコミュニケーションできる現代社会は、便利な反面、やっかいでもある。言葉の力が生きる力とも言える時代に、日本語の足腰をどう鍛えるか、大切なことは何か──恋愛、子育て、ドラマ、歌会、SNS、AIなど、様々なシーンでの言葉のつかい方を、歌人ならではの視点で、実体験をふまえて考察する。(新潮社ウェブサイトより)

2位 『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』 鶴見太郎[著](中央公論新社)

ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。3000年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位 『やりたいことは全部やりなさい 最後に後悔しない25のヒント』 森永卓郎[著](SBクリエイティブ)

最後に後悔しない25のヒント 若い世代へ遺したラストメッセージ 貯める・増やすよりも豊かになる本当の生き方 私は、「やりがいだけのために生きる」ことこ そが、真の幸福だと確信しています。資本の奴隷として、金銭的な豊かさを追い求め続けても、ただ疲弊するばかりで、その先に幸せな人生はありません(「はじめに」より)。経済アナリスト・森永卓郎が次世代へ向けて語った、お金と人生の本質。(SBクリエイティブウェブサイトより)

4位 『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』 齋藤ジン[著](文藝春秋)

5位 『多動脳─ADHDの真実─』 アンデシュ・ハンセン[著] 久山葉子[訳](新潮社)

6位 『日本人拉致』 蓮池薫[著](岩波書店)

7位 『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』 NHKスペシャル取材班[著](NHK出版)

8位 『日本経済の死角──収奪的システムを解き明かす』 河野龍太郎[著](筑摩書房)

9位 『咒(まじない)の脳科学』 中野信子[著](講談社)

10位 『私はがんで死にたい』 小野寺時夫[著](幻冬舎)

〈新書ランキング 6月10日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2025年6月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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