【話題の本】『文庫版 近畿地方のある場所について』背筋著 単行本と内容変える

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令和5年8月に発売された単行本『近畿地方のある場所について』はホラーブームを牽引(けんいん)し、大ヒット。同書が原作の実写映画も今月8日に公開された。こうした中、7月末に発売された文庫版が、単行本とは主人公も物語も変えて「出版界初の試み!?」と注目されている。

近畿地方のある場所にまつわる怪異を追う設定、登場する数々の怪異譚(たん)はほぼ同じだが、主人公がライターの背筋とオカルト雑誌編集者から、女性ライターの瀬野とその仕事仲間だった別の編集者に変わった。

編集担当の和田寛正さんによれば「最初に単行本を買って応援してくれた読者に、内容を変えてもう一度楽しんでもらいたい」という著者の思いから企画された。「同じ怪奇現象も違う人の視点で見ていくと別の結末になる。怪異が主役の単行本から文庫では人間が主役になり、感情の機微が描かれるなど、違う読み味を楽しめるのでは」と和田さん。

通常の文庫化では、単行本を増刷せず文庫主流になることも多いが、本書は書名に「文庫版」と入れて別アイテム扱いとした。両方届け続けたいという著者・編集者の思いが込められた異例の企画。初版22万部と大部数だが、書店の評判もよく好発進となっている。(角川文庫・880円)

三保谷浩輝

産経新聞
2025年8月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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