【話題の本】『イン・ザ・メガチャーチ』朝井リョウ著 〝推し活〟経済の熱狂

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「神がいないこの国で人を操るには、〝物語〟を使うのが一番いいんですよ」という、現代日本の核心を突くセリフが強烈な長編小説。著者の作家生活15周年記念作として9月に発表され、発売から約2週間で発行部数は10万部を突破した。全国書店でランキング1位を記録するなど、大きな反響を呼んでいる。

いまや巨大な市場となった「ファンダム経済」(ファンが熱烈に応援する〝推し活〟によって成長する経済圏)がテーマ。アイドルという〝物語〟を仕掛ける側の47歳の男性、居場所を求めてのめり込む19歳の大学生、若手俳優の熱心なファンだった35歳の女性という、世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす〝物語〟の功罪を描く。彼ら彼女らの姿は、熱狂に身を投じる心地良さと危うさを知る読者にとって、強い感情移入を誘うだろう。

著者は、平成21年に『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞してデビューし、『何者』や『正欲』などベストセラーを連発してきた。小説を「この時代の香りを瓶詰めにして残しておきたい」「標本を作りたい」という強い思いで執筆してきたと語る。鋭い筆致がリアルをえぐる注目の作品だ。(日本経済新聞出版・2200円)

三宅令

産経新聞
2025年10月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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