【産経Books】『日本陸海軍 幻の軍用機』「丸」編集部編

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■「未完の翼」を俯瞰

零戦の後継機「烈風」、ロケット戦闘機「秋水」…。これらは先の大戦で戦況逆転に向け試作されながらも、終戦により量産が間に合わなかった機体として知られる。ミリタリー雑誌「丸」編集部による本書は、貴重な写真や作図をふんだんに盛り込んだ「未完の軍用機」データ集。

まず目を引くのは、グラビアの冒頭に掲載された局地戦闘機「震電」の機首部分をとらえた写真。プロペラが機体後部にある「震電」は昭和20年8月に試飛行に成功したが終戦後は米軍に引き渡された。米国内の施設に保管されている貴重なもので、胴体の断面がよくわかる。なお、映画「ゴジラ-1.0」に登場した戦闘機のモデルにもなった。

陸海軍共同で研究され、資材調達など多くの困難により開発中止となった超大型爆撃機「富嶽」のイラストも迫力がある。当初の構想では全幅65メートル、全長45メートル、5000馬力エンジン6基、航続距離1万6000キロというとてつもない巨大機。米本土の主要工業地帯を爆撃し、戦争継続能力を奪うのが狙いだった。米マンハッタン上空を飛ぶイラストはリアル。

この他にも多種多様な試作機に関する設計情報が詳述されており、大戦末期の逆転に賭けた当時の技術者たちの苦労が伝わってくる。(潮書房光人新社・3300円)

産経新聞
2025年10月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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