渡良瀬川河川敷で相次いで発見された若い女性の遺体 10年前に起きた未解決殺人事件と酷似していた 奥田英朗『リバー』が文庫で登場[文庫ベストセラー]

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 10月28日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『国宝 上 青春篇』が獲得した。第2位は『志記(一) 遠い夜明け』、第3位は『ザ・ロイヤルファミリー』となった。

 4位以下で注目は7位と8位に初登場の『リバー 上・下』。奥田英朗さんが2022年に発表した作品の文庫版。栃木県と群馬県にまたがる渡良瀬川の河川敷で、全裸で両手を縛られた女性の遺体が相次いで発見される。10年前の未解決殺人事件と酷似する手口に震撼する街の人々や刑事たち。刑事、記者、被害者の親族など様々な視点で物語が進む、緊迫の群像劇だ。

 コラムニストの香山二三郎さんは《物語の主流は何といっても両県の刑事の捜査劇だ。警察小説の刑事というと癖の強い男たちのドラマという印象を抱きがちだが、本書は個々の造形もさることながら、統制のとれたチームワークに読み応えあり。個々のドラマはサイコな池田を始めとする容疑者たちや犠牲者家族の松岡、引退刑事の滝本、さらには中央紙の若手女性記者、変人の心理学者といった周辺人物のそれのほうが、けれんに富んでいよう。》と登場するキャラクターたちの造形の多様さを解説し、《期間工や外国人労働者の流入、工場や大型商業施設の進出が犯罪の増加を促進する!?現代日本の一端を浮き彫りにした圧巻の群像ドラマだ。》と評している。

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1位『国宝 上 青春篇』吉田修一[著](朝日新聞出版)

俺たちは踊れる。だからもっと美しい世界に立たせてくれ!極道と梨園。生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、芸の道に青春を捧げていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、作家生活20周年の節目を飾る芸道小説の金字塔。(朝日新聞出版ウェブサイトより抜粋)

2位『志記(一) 遠い夜明け』高田郁[著](角川春樹事務所)

文化元年(一八〇四年)、如月。清明の日にふたりの女児が産声を上げる。ひとりは蔵源美津。蔵源家は黒兼藩で代々藩医を勤める家系で、祖父の教随は秘密裡に腑分けを行い、父の恵明は藩医学校「青雲館」を担う立場であった。今ひとりは高越暁。備前刀を手掛ける刀鍛冶の一族で、祖母の高越?は「女忠光」の異名を取っていた。長じて、美津は医学、暁は鍛刀を志すことになる。猪突猛進で焔にも似た美津、常に冷静で氷に喩えられる暁、女には困難とされる道を選んだふたりの人生が、十九の初夏、思いがけず江戸で交錯する。志を胸に人生を切り拓いていく者たちの群像劇、いよいよ開幕。(角川春樹事務所ウェブサイトより)

3位『ザ・ロイヤルファミリー』早見和真[著](新潮社)

お前に一つだけ伝えておく。絶対に俺を裏切るな――。父を亡くし、空虚な心を持て余した税理士の栗須栄治はビギナーズラックで当てた馬券を縁に、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」のワンマン社長・山王耕造の秘書として働くことに。競馬に熱中し、〈ロイヤル〉の名を冠した馬の勝利を求める山王と共に有馬記念を目指し……。馬主一家の波瀾に満ちた20年間を描く長編。山本周五郎賞受賞作!(新潮社ウェブサイトより)

4位『国宝 下 花道篇』吉田修一[著](朝日新聞出版)

5位『チンギス紀 十三 陽炎』北方謙三[著](集英社)

6位『硝子の塔の殺人』知念実希人[著](実業之日本社)

7位『リバー 上』奥田英朗[著](集英社)

8位『リバー 下』奥田英朗[著](集英社)

9位『兇人邸の殺人』今村昌弘[著](東京創元社)

10位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

〈文庫ランキング 10月28日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2025年11月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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