なぜ「コント」はM-1グランプリで強いのか? かつては漫才が優勢だったが…王者・ノンスタ石田が語る賞レースの“異種格闘技化”

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NON STYLEの石田明さん

2024年のM-1グランプリ決勝では審査員を務め、的確な審査が話題となったNON STYLE(ノンスタ)の石田明さん。史上初のM-1連覇を果たした令和ロマンのくるまさんも石田さんから薫陶を受けたと明かすように、その的を射た「漫才論」は度々話題になってきた。

そんな石田さんが、かつては王道の漫才が評価されてきたM-1において、“コントの強さ”を感じるようになってきたという。

なぜ最近のM-1ではコント師が結果を出しているのか? 石田さんの「漫才論」をまとめた書籍『答え合わせ』(マガジンハウス)から抜粋して、その答えをお届けする。

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たくわえた脂肪を見せる「THE SECOND」

漫才の賞レースはM-1だけではありません。フジテレビで2023年に始まった「THE SECOND」も近年盛り上がりを見せています。「THE SECOND」の出場資格は、「結成16年以上」「全国ネットの漫才賞レース番組で優勝していない」の2つです。「結成15年以内」が条件のM-1に出場できなくなったコンビにセカンドチャンスを、というコンセプトで始まった大会ですが、個人的には「結成20年以上」としたほうが、いい大会になるんちゃうかなと思っています。

「THE SECOND」の醍醐味って、それぞれのコンビが年月を積み重ねて蓄積してきたものを見せるところやと思うんですね。

M-1が鍛え抜かれた筋肉を競うボディビル大会やとしたら、「THE SECOND」は、こてこてに肥大した脂肪肝を見せ合うメタボ大会なんです。自分たちの前に出たコンビをいじるとか、M-1やったらNGとされる技も飛び出します。

だけど出場条件が「結成16年以上」ということは、昨年までM-1に出場していたコンビもエントリーできる。そのコンビは、いってみれば無駄なぜい肉のない状態で、メタボ大会に出ることになるわけです。ムキムキの筋肉と脂肪肝とでは戦い方が違うから、審査するほうとしても点をつけづらいそう考えると、結成16年目を迎えたコンビには、まず、いったん賞レースから離れて、ほんまに自由にお笑いをやってもらいたいとも思います。

そこで経験や余裕、ある種の老獪さといったものを蓄えて、5年経ったころに、また戦える場が用意されているよ、ということにしたほうが、「THE SECOND」は、もっといい戦いが見られる大会になるんやないかと思います。

現に2023年チャンピオンのギャロップは2003年結成、2024年チャンピオンのガクテンソクは2005年結成と、いずれも結成20年前後。やっぱり、賞レースから少し離れて自由なお笑いを数年間やっているコンビのほうが、この大会には合っているんやと思います。

石田明(いしだ・あきら)
お笑いコンビ「NON STYLE」のボケ、ネタ作り担当。1980年2月20日生まれ。大阪府大阪市出身。中学時代に出会った井上裕介と2000年5月にコンビ結成。神戸・三宮でのストリート漫才で人気を博し、baseよしもとのオーディションに合格してプロデビュー。2006年「第35回上方お笑い大賞」最優秀新人賞受賞、「第21回NHK新人演芸大賞」演芸部門大賞受賞、2007年、NHK「爆笑オンエアバトル」9 代目チャンピオン、2008年「M-1グランプリ2008」優勝など、数々のタイトルを獲得。2012年、2013年、2年連続で「THE MANZAI」決勝進出。「M-1グランプリ2015」「M-1グランプリ2024」では決勝の審査員を務めた。2021年から、NSC(吉本総合芸能学院)の講師を務め、年間1200人以上に授業を行っている。ゲストの芸人とともにお酒を飲みながら漫才論や芸人論などを語るYouTubeチャンネル「NON STYLE石田明のよい~んチャンネル」も人気。

マガジンハウス 書籍編集部
2025年12月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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『パンダのanan』(小泉今日子)、『美女入門』(林真理子)、『世界がもし100人の村だったら』(池田香代子)、『漫画 君たちはどう生きるか』( 吉野源三郎 原作 羽賀翔一 漫画)など、数々のベストセラーを刊行してきました。小説・エッセイから料理本、実用書、写真集まで、ジャンルは多岐にわたります。2008年には文庫を、2022年には新書を創刊。今、熱いのは学習まんがです。今、読みたいもの、時代が必要とする書籍をお届けします。