高市総理の「野球観戦」に安倍元総理の「ゴルフ外交」…なぜスポーツが距離を縮めるのか? 信頼関係を築く方法を専門家が語る

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク


ゴルフを楽しむトランプ大統領と安倍晋三元総理(2019年5月。安倍元総理のXより)

ワールドシリーズ観戦で距離を縮めた高市総理

「開始が遅れまして失礼いたしました。今、トランプ大統領の部屋で野球を見ておりました。1対0で、ドジャースが勝っています」

10月月28日、高市早苗総理は来日したドナルド・トランプ大統領と迎賓館で初の対面会談を行った。その冒頭で、両国トップが開始時刻に遅れた理由を出席者らにこう伝え、出席者らの笑いを誘った。メジャーリーグ・ワールドシリーズの真っ最中であったドジャース対ブルージェイズ戦をテレビ観戦し、盛り上がりすぎて遅刻したというのだ。

会談は終始和やかな調子で進み、この後移動した横須賀米海軍基地ではトランプ大統領が高市総理について「私たちはすぐに親しい友人になった」と発言。野党党首からも“グッドスタート”と評される初対面となった。

こうした関係を築けた要因は様々あろうが、“スポーツ”が相手との距離を縮めるキーワードだと指摘するのは、国際インタビュアーとして多くのVIPを取材してきた斉藤真紀子さんだ。

その一例として挙げるのが、トランプ大統領が「親友だった」と語る安倍晋三元総理の“ゴルフ外交”だ。なぜ、スポーツが距離を縮めるのか。斉藤さんの著書『たった1分で相手が虜になる世界標準の聞き方・話し方』から理由を探ってみた(以下、同書より一部を抜粋・再構成しました)。

 ***

祖父・岸伸介もアイゼンハワーと「ゴルフ外交」

「ゴルフ外交」で知られた日米のトップがいた。

ドナルド・トランプ米大統領と安倍晋三首相(当時)だ。

2017年には、安倍氏の訪米時にフロリダ州でともにコースをまわり、トランプ氏来日時はメディアをシャットアウトして2人でゴルフ場を2カ所はしごするなど、親密さをうかがわせた。

なぜゴルフ接待なのか。単なる歓迎パーティの一環ではない「立場が違う相手との平等化」に大きな効果を発揮できることを意識する必要がある。

安倍元首相が、トランプ大統領と互いにファーストネームを呼び合いながらゴルフで距離を縮めたのは、歴史的な背景がある。

安倍氏の祖父、岸信介元首相は1957年、第二次世界大戦後に「敵国」だったアメリカを訪問した。日米の外交関係を築くにあたり、緊張も多かった時代だ。そうしたなか、アイゼンハワー元大統領は岸元首相をゴルフに連れ出した。

「目の前で(アイゼンハワー大統領が)ホールを外して悔しがる姿を見て、2人の距離が急速に縮まった」

岸元首相は、孫の安倍氏にこう語ったそうだ。

超大国のアメリカと、敗戦国で経済も成長途上だった小さな国である日本のトップが、スポーツで「感情」をむき出しにしたことで、「対等」になることができた。感情こそ、文化を超えてすべての人間に共通するからだ。

斉藤真紀子(さいとう・まきこ)
兵庫県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業、米ブランダイス大学院文化人類学・女性学修士課程修了。丸紅米国会社(ニューヨーク)、日本経済新聞米州総局(ニューヨーク)金融記者、朝日新聞出版『AERA』の専属記者を経て、フリーのジャーナリストに。アメリカ在住歴8年、欧州、北米、中南米、アジア十数カ国で、日本語と英語で取材。これまで、ヒュー・ジャックマン、レディー・ガガ、マイケル・ムーアといった国内外のVIPをはじめ、ウォール・ストリートのビジネスピープル、世界的経営者など2000名以上をインタビューする。金融、経済、ビジネス、社会、ジェンダー、エンターテインメント等、幅広い分野で新聞、雑誌およびウェブ媒体に記事を執筆している。

PHPオンライン
2025年11月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

PHP研究所

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

PHPオンラインのご案内

株式会社PHP研究所が運営するWEBメディアが「PHPオンライン」です。「生き方・心理・人間関係・社会」を主要テーマとし、PHP研究所の雑誌や書籍からの記事に加え、専門家の知見や著名人インタビューなどの幅広い記事を掲載しています。周りを見渡すと、自分だけが変わらない現実に**取り残された気がして、怖くて、不安で、しかたない。**そんな時、ぜひ私たちに頼ってください。あなたの心に寄り添い、前に進むヒントを見つけるお手伝いをします。
新着記事を見る
https://shuchi.php.co.jp/latest