【産経Books】『ジャパニーズ・エア・パワー』大谷内一夫訳・編

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■日本空軍力の解剖書

戦後80年の今年、書店には多くの関連本が並ぶが、〝変わり種〟として存在感を見せているのが米国戦略爆撃調査団報告の完訳版『ジャパニーズ・エア・パワー』だ。平成8年に刊行された単行本の文庫版。

終戦直後、米国は大規模な調査団を編成し対日戦争での航空攻撃の効果を徹底的に調査。尋問対象は日本の軍部、政界、産業界のリーダーら700人以上。資料の発掘と収集も行われた。作成された100件以上の報告書の中で「日本の空軍力」に特化したものが本書のベースだ。

この報告書の特徴は、豊富なデータと軍事的視点に貫かれていることだ。例えば、米国ではハワイ真珠湾攻撃が「だまし討ち」と非難されるが、報告書では「最も華麗な、成功した攻撃」と率直に認めている。報告書(1946年作成)を翻訳した航空評論家の大谷内一夫も本書の中で「当時としては、おどろくほど偏見のない報告書」と評している。

爆弾を抱えた飛行機で敵艦に体当たりする「特別攻撃」(特攻)にも紙幅を割く。約3年8カ月続いた先の大戦のわずか10カ月間に、米軍艦の沈没艦総数の約21%が集中しているが、これが特攻による「戦果」だった。さまざまなデータから戦争の意外な実相が伝わってくる。(光人社NF文庫・1150円)

産経新聞
2025年11月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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