【話題の本】『カードゲームで本当に強くなる考え方』茂里憲之著

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■不確実性に向き合う達人の手の内は 

プレーヤーが数千枚単位のカードからデッキを構築し、対戦するトレーディングカードゲーム(TCG)。新しいカードが追加されると対戦環境もリセットされるため、囲碁や将棋などの定石に当たるものは存在しない。しかし、行動経済学や認知心理学の知見を援用すれば、カードゲーマーとしての基礎能力を高められるという。元プロプレーヤーが勝利のための本質的な思考法を明かす、「史上初のTCG理論書」だ。

著者が強くなったきっかけは、小学生の頃に「相手の攻撃を無効化するカード」が弱いと気づいたこと。このカードを消費しても、相手のカードを減らすことができないためだ。互いのライフを削りあうゲームから、カードの枚数でアドバンテージを取り合うゲームへと、一歩先の見方に進むことができたという。

版元の筑摩書房によると、初版刊行から2カ月弱で4刷4万8000部を突破。担当編集者の方便凌さんは「『思考の言語化』や『プレイの一貫性』といった本書の考え方は、ビジネスや投資といった分野にも引き付けて読まれている」と語る。

著者いわく、自分の不完全さや不確実性に向き合うカードゲームは「人生の縮図」。達人の手の内から学ぶことは多そうだ。(ちくまプリマー新書・990円)

村嶋和樹

産経新聞
2025年12月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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