記憶力の良さが裏目に…「認知症になった75歳夫」の妻が陥った「資産の落とし穴」とは? 終活の「3つのリスク」をプロが解説
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記憶力の良い夫はパスワードを…
終活はいつかやらなければと思っていても、「そのうちやろう」と先延ばしにしてしまいがちな人も多いのではないか。しかし、その先延ばしのせいで実際に大変な苦労をすることもあるという。
1000件以上の遺言・相続問題を扱ってきた弁護士の伊藤勝彦氏は、終活には先延ばしにすることで起こりがちな「3つのリスク」があるという。
一体どんなリスクなのか、伊藤氏の著書『モメない相続でお金も心もすっきり!親子終活』(あさ出版)より一部を抜粋・再構成のうえ解説していこう。
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【リスク1】預金などの資産を思うように使えなくなる
そもそも、なぜ終活は早めに始めたほうがよいのでしょうか。
終活というと「まだ元気だから必要ない」「もっと年を取ってからでいい」と思われがちですが、先送りにすることで思わぬ不都合が生じることがあります。
実は、判断能力や体力が十分にある“今”だからこそできることは多く、時期を逃すと選択肢が大きく狭まってしまうのです。
まずは、終活を先送りにすることで起こりやすい代表的なリスクを見ていきましょう。
リスクの1つ目は、預金などの資産を思うように使えなくなる可能性が高まることです。
これは、親世代が認知症などで判断能力が低下すると、意思表示できず、財産の管理や処分ができなくなるためです。
もし、施設入所のために預金を引き出したり、不動産を売却したりする必要が生じても、本人に判断能力がないと、終活を先送りにしてはいけないこれらの手続きができません。
例えば、銀行口座一つをとっても「凍結」されてしまう可能性が出てきます。銀行は預金者本人の意思を確認できない状態では、たとえ家族であっても預金の引き出しや解約を認めないのが原則だからです。つまり、たとえ必要な支払いのためであっても、預金を引き出すことができなくなってしまうのです。
実際、次のようなケースがありました。
兵庫県に住む68 歳の田中美代子さん(仮名)は、認知症を発症した夫(75 歳)のインターネットバンキングの資産にアクセスできなくなりました。
記憶力のよかった夫は、パスワードをすべて自分の頭の中で管理していました。しかし、認知症の進行によってパスワードを思い出せなくなり、本人確認の質問にも答えられなくなってしまったのです。
銀行にも相談しましたが、本人の意思確認ができないため、成年後見制度を利用するまで口座へのアクセスは回復できません。銀行への手続きには3 カ月かかり、その間の入院費や施設費の支払いに苦労してしまいました。
金銭面のトラブルを防ぐためにも、元気なうちから資産管理や情報整理について家族と情報を共有し、適切な終活を行うことが重要なのです。
伊藤勝彦(いとうかつひこ)
弁護士法人みお代表/弁護士
1973年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業の年に司法試験合格。弁護士・司法書士・社会保険労務士・行政書士など多方面のプロフェッショナルを擁する総合法律事務所の代表を務める。弁護士活動の初期から「終活」関連分野に注力。遺産分割や遺留分侵害額請求に関する調停・訴訟に多数関与し、依頼者の代理人として相続人全員が納得できる解決に導いてきた。その経験から、遺言や相続に関わる社会的関心の高い事件について、テレビ局のニュース番組で解説なども行う。信条は日々相談者の困難や不安に寄り添い、頼れる存在であり続けること。著書(共著)に『サービス残業という地雷』(幻冬舎)がある。
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