【話題の本】『総理の夫』原田マハ著

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■愛情たっぷり妻支え

日本初の女性、しかも史上最年少の42歳の首相の誕生を描き、13年前に単行本として刊行された近未来小説。昨年10月に高市早苗内閣が発足し、現実世界でも女性首相が生まれると再び注目され、累計27万部を突破している。

少数政党・直進党の党首で、連立政権の首相に就任した才色兼備の相馬凛子の奮闘の日々を鳥類学者の夫、日和(ひより)が後世の読者に向けて日記でつづっていく形で物語は進む。

夫婦ともに東大卒のエリート。凛子は作家の父と国際政治学者の母の間に生まれ、日和は日本を代表する大財閥の次男坊として育った。この夫婦を思わぬピンチが襲う。

今読むと、どうしても凛子を高市氏と比較してしまう。国民から高い支持を得ているのは似ているが、首相の激務をこなしながら、車いす生活を送る夫、山本拓元衆院議員のリハビリを支える高市氏とは環境が全く異なる。政策面でも緊縮財政や脱原発を掲げるなど正反対だ。

徹底的に理想化された女性リーダー像が描かれているが、政治エンターテインメント、ラブストーリーとしての魅力は色あせない。凛子を支え、愛情たっぷりの文章を書く日和がかわいい。読んでいて、つい笑顔になる。(実業之日本社文庫・1012円)

宇野貴文

産経新聞
2026年1月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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