【産経Books】『「鬼滅の刃」と日本人』一条真也著 “懐かしさ”の正体

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「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」(令和7年公開)の興行収入が390億円を突破し、歴代1位の前作「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(同2年公開、407億円)に迫る大ヒット作となっている。そんな「鬼滅の刃」が社会現象であり続ける要因は何か。本書は日本文化や民俗の視点から、令和の日本人に刺さる核心を考察する。

著者は一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団理事長。作品について、主人公・竈門(かまど)炭治郎が喪(うしな)った家族・共同体・儀礼などを一つ一つ再構築していく「精神的故郷」再建の物語と読み解く。その上で劇場版の両作品の大ヒットを「偶然」ではなく「必然」とみる。コロナ禍で祭礼や参詣が失われた2年、政治不信やコメ不足、外国人増加による文化的動揺が広がった7年。その両年に、人々の不安を解消し精神的な安定を回復させる役割を果たした―という大胆な見立てだ。さらに、日本人のアイデンティティーの揺らぎへのケアこそが大ヒットのトリガーとなった、と踏み込む。作品に漂う“懐かしさ”の正体はこれだったのか、と納得。

神道・儒教・仏教からみた作品分析のほか、炭治郎と力道山の「英雄像」比較、大人気映画「国宝」との共通項などを巡る論考も斬新だ。(産経新聞出版・1540円)

産経新聞
2026年1月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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