「ネコ科の絶滅危機」を考えるきっかけにも…子どもから動物好きまで楽しめる『ネコ科全種図鑑』著者インタビュー

特集・インタビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク


マヌルネコ(『ネコ科全種図鑑』より)

イラストレーターやアニメーション作家として活躍するキクチミロさん。昨年出版された『絶滅危機動物ファイル』に続く図鑑第2弾の『ネコ科全種図鑑』(2月25日発売、いずれも辰巳出版刊)にも注目が集まっている。

元々動物が大好きというキクチさんに、イラスト制作についてやネコ科動物に感じる魅力をはじめ、図鑑を作ることへの思いについて伺った。


クリックで購入サイトへ

 ***

デジタルとアナログのミックスによって生まれた独自の作風

――オリジナリティあふれるコラージュイラストはどのように生まれたのですか?

趣味でアニメーションを作ろうとしたときに、コラージュイラストもアニメーションにすると面白そうだなと思って始めました。パラパラ漫画のように1コマ1コマ柄も変えて制作するので、アナログでめんどくさい手法ですね。

新刊の『ネコ科全種図鑑』のイラストも同じで、基本的にはアナログとデジタルが混ざっているんです。コラージュの柄の素材は、まずデジタルでオリジナルデザインを作り、それを一度紙に出力し、再びパソコンに取り入れています。この工程によって紙の質感のある素材ができ、それを元にイラストを制作しています。めちゃくちゃ大変ですが、熱意と根気によって自分にしかできない作風が生まれているのかなと思っています。


コラージュの元となるオリジナル柄の素材をプリントアウトしたもの。その都度イラストに合わせて柄素材も制作している


イラストの制作工程。(1)ベースとなるラフイラスト、(2)配置したコラージュ素材、(3)ラフイラストに沿ってコラージュ素材を切り抜き、それを組み合わせて完成

描いていても面白いネコ科の模様、イラストでも特徴がちゃんと伝わるように

――さまざまな動物の図鑑を作られていますが、ネコ科にはどのような魅力を感じていますか?

単独で狩りをするという生態や、そうした環境で進化した高い運動能力、ほかとつるまずに生きていく姿にかっこよさを感じます。見た目でというと、基本的に体はすらりとしていて、耳が大きく尻尾は長く、模様はさまざまで、その美しさやかわいさも魅力ですよね。

動物のイラストでは、そうした生き物としての特徴をわかりやすく伝えるため、コラージュ素材の柄は控えめにしているんです。イラスト自体は少しデフォルメしていますが、生き物の特徴として嘘がないようにしたいので。

とくにネコ科の場合は、まだらやしまなど模様の特徴もきちんと伝わるように意識していますが、描いていても本当に面白いなと感じます。


『ネコ科全種図鑑』には両側に広がるパノラマページが! 収録されたネコ科全種の進化の過程や種の繋がりが一望できる系統樹(『ネコ科全種図鑑』より)

調べるほどに見えてきた、絶滅の危機にある動物の現状を伝えるために

――動物図鑑を作るきっかけは何だったのでしょうか?

元々動物が好きで、いろいろな動物について調べることを純粋に楽しんでいたのですが、それらの動物たちがどんどん絶滅の危機に陥っていく状況にあることがわかりました。そんな今こそ現状をきちんと知っておかなければと強く感じるようになったことが、図鑑作りを始めたきっかけです。そして、得た知識や情報をわかりやすく伝えられればと考えました。

ネコ科はほかの種と比べてもピンチだといえます。ネコ科は本来、動物界の中でいうと頂点捕食者ですが、彼らにとっての大きな脅威はまさにヒトです。ヒトは、美しい柄の毛皮を求めたり、体の一部が薬になると信じられていることなどから、多くの命を奪ってきました。

いろんな種の比較がしやすい図鑑に、動物好きに楽しく読んで知ってもらいたい

――図鑑作りではどのようなところにこだわっていますか?

子どもから動物マニアの方まで楽しめる内容を目指していますが、その上でのこだわりは、全部の種を比較しやすいようにまとめているところです。

たとえば、分厚い図鑑などのメイン写真やイラストは、ジャンプしたり走ったり、ちょっと振り向いたりと、それぞれにとって魅力的なポーズをとっています。

ですが『ネコ科全種図鑑』では、この種は脚が長いとか虎子状斑があるとか、見た目の特徴がぱっと見でわかるように、メインイラストはあえて同じポーズで描いています。また、体長や体重、産む子どもの数や寿命、分布エリアなどといった情報も、わかりやすく見比べやすいように同じフォーマットの表にまとめています。


一目で特徴がわかるイラストと動物のデータ。文章パートもかわいいイラストでわかりやすく解説(『ネコ科全種図鑑』より)

――最後に、イラストや図鑑に込めた思いを聞かせてください。

動物が好きな方に気軽に手に取ってもらい、純粋にイラストや内容を楽しんでいただけたらと思っています。さらに、動物たちの魅力や特徴だけでなく、絶滅危機の問題についても、一歩踏み込んで考えるきっかけになれば嬉しく思います。

ぼく自身、まだまだ知りたいことがたくさんあって、知らないことを知ることは人生においての最大の喜びだと思っているんです。動物図鑑は一生かかっても作り終えることはありません。この創作活動にはきっと飽きることもないので、今後もライフワークとして続けていきたいと思っています。

辰巳出版
2026年2月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

辰巳出版

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

株式会社辰巳出版社のご案内

辰巳出版社グループは、雑誌・書籍・ムック・コミックス・ニューメディア商品の出版・発行をしています。
「シーバ」「猫びより」などのペット雑誌や、「つり情報」「パチンコ・パチスロ必勝本」プロレス誌「Gスピリッツ」、「自転車日和」、料理本などの趣味系ムック、書籍などを扱う辰巳出版。
趣味・くらし・健康の実用書を扱う日東書院本社に分かれており、様々なジャンルで『面白い、楽しい。』を追求しています。