【話題の本】『インフレの時代』渡辺努著 賃上げで拓く経済好転

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物価高騰が家計を圧迫する今、関心事は「どうすれば賃金を上げられるか」に集約される。本書は、物価研究の第一人者である著者が、日本に定着するインフレの実態を解き明かし、日本経済正常化への処方箋を提示した一冊だ。

副題は「賃金・物価・金利のゆくえ」。令和4年春、世界に歩調を合わせるように始まった日本の物価高は、30年間にわたる慢性的なデフレに終わりを告げるものだった。著者は日銀の金融政策や財政への影響を分析。賃上げの実現こそが市場の価格メカニズムを正常化させ、経済の好循環を生むと説く。

1月25日の刊行後、1週間で重版がかかった。丸善丸の内本店(東京)の新書部門で週間ランキング1位となるなど、とくにビジネスパーソンから高い支持を得ている。

本書の刊行から2日後に、今年の春闘が事実上のスタートを切った。賃上げへの期待が高まるなか、担当編集者は「長らく賃上げも値上げも自粛してきた日本には、インフレ下でのかじ取りを経験した経営者が少ない。ぜひ本書を手に、交渉への理論武装をしてほしい」と語る。

インフレを逆風ではなく、生活好転の契機と捉えるための指針となるはずだ。(中公新書・1320円)

三宅令

産経新聞
2026年3月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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