【話題の本】『出版禁止』長江俊和著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

■どんでん返しにしびれる

今月13日に劇場版最新作「放送禁止 ぼくの3人の妻」の公開を控える、平成の伝説的カルト番組「放送禁止」(フジテレビ系)。その演出家自らが執筆した「出版禁止」シリーズの記念すべき第1作が本書である。平成26年に単行本、29年に文庫本として刊行された。

一見ドキュメンタリーだが、実はフィクションという「フェイク・ドキュメンタリー(モキュメンタリー)」と呼ばれるジャンルの先駆的な作品として知られ、累計20万部を突破している。

山梨県で起きたカリスマ・ジャーナリストの心中事件を題材とし、ある理由によって封印された「カミュの刺客」と題するルポルタージュの秘密を、著者が解き明かすという構造が面白い。

事件の真相に迫ろうとする「若林呉成」という人物によるルポは予想もつかない展開を見せ、衝撃的なドラマへと読者を導いていく。

新潮社文庫出版部の中村睦さんは「読者を驚かせる、どんでん返しが幾重にも仕掛けられ、背筋が凍る人間の狂気が描かれている。文体も粘着質で、個性的です」と評する。

しびれさせる魅力は色あせない。怖いけど、いつか映像化もしてほしい。(新潮文庫・737円)

宇野貴文

産経新聞
2026年3月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。