【話題の本】『原子力はいる? いらない? 原発大国フランスと脱原発ドイツ』 エネルギーの安保考察

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

エネルギーの7割以上を原発に依存するフランス。ウクライナ戦争でロシアからの燃料が入りにくくなる状況下でも「脱原発」を推し進めたドイツ。エネルギー政策では対照的な道を歩む欧州の両大国に精通する著者2人が語り合い、日本がとるべき針路を探っている。発売は昨春。今年2月にエネルギーや環境問題に関する著作を対象とする第46回エネルギーフォーラム優秀賞に選出され、「非常に好調な売れ行き」(出版元のワニブックス)だという。

世界有数の原発大国であるフランスがエネルギー政策で重視するのは「独立」を守ること。エネルギーを海外から輸入する石油に依存した場合、価格の高騰に翻弄され、産油国の言いなりになるリスクがある。国の安全保障もおぼつかない。それを避けるために原発でエネルギー自給率を上げる。一方で、事故は起こり得る、との前提に立って安全対策や情報開示も徹底するという。フランスのこうした現実主義と、ドイツや日本の「脱原発」論との決定的な違いが、国民性や文化にまで踏み込んだ考察を通して浮き彫りになる。

米国とイスラエルによるイラン攻撃で原油価格が世界的に高騰する今、改めて議論すべき論点が網羅されている。(山口昌子、川口マーン惠美著/ワニブックス・1870円)

海老沢類

産経新聞
2026年3月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。