【話題の本】『青天』若林正恭著 アメフトと向き合い成長

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タイトルは「あおてん」と読む。アメリカンフットボールの用語で、あおむけに倒されることを意味し、最も屈辱的な状態だ。

日大二高アメフト部のチームメート同士で結成した人気お笑いコンビ・オードリーのツッコミを担当する著者による初の小説。今年2月に発売され、版元である文芸春秋の編集部によると、老若男女に支持されて5刷28万部の異例のヒットを記録している。

舞台は20世紀末の東京。万年2回戦止まりの弱小高校アメフト部で悔いの残る引退をした主人公の少年「アリ」が、もがきながらアメフトと向き合い、成長していく。

作中では相方・春日俊彰の定番ギャグを連想させるアメフト部員の「トゥーーーーーー!!」という掛け声がこだまする。春日を探してしまうが、モデル小説ではないという。

戦術を組み立て、「殺し合い」にたとえられるほど激しく体をぶつけ合うアメフトのプレーを活写。ルールが分からなくても、高揚する心情をつづる文章に引き込まれる。

編集部は「読んでみてアメフトに興味を持ったという方もいる。一番うれしいのは『小説を久々に読んだ』という方がいることです」と喜ぶ。(文芸春秋・1980円)

宇野貴文

産経新聞
2026年4月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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