「高校生の7割は本を読まない」AI時代にあえて本を読む意味は?

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AI時代に読書は必要…?

 昨年10月、ベネッセ教育総合研究所が公表した「子どもの生活と学びに関する親子調査」の中での「子どもの読書時間」についての調査結果は、大いに波紋を呼んだ。
 
 1日の読書時間が0分、つまり基本的に本を読まないと答えた子どもが全体の52.7%と半数を超えたのだ。2015年には34.3%だったから急激に増えていると言ってもいいだろう。調査対象は小学生~高校生だが、中でも高校生の「本離れ」は顕著で、読書時間0分が69.8%とほぼ7割に達している。

 当然ながらここにはスマホが大きく関わっているわけで、スマホの使用時間が長いほど、読書時間は短いという傾向があるとされている。また、読書時間が長いほうが、語彙力や読解力が高いという結果も示されている。

「スマホばかり見ていても読解力は身につかない。本を読みなさい」……親ならばそう言いたいところだろうが、これもあまり説得力がないだろう。何せ親自身が本を読んでいるわけではないのだ。今後も読書時間が減少する傾向は止まらないと見たほうが良さそうである。

 そもそもこれだけ技術の進歩が速くなると、「読解力がどれほど必要なの?」「AIに相談すれば答えが得られるじゃないか」等、子どもに正面切って言われると答えに窮するのではないだろうか。

 作家で社会学者の古市憲寿氏は、これまで膨大な読書量をもとに数多くの本を執筆してきたが、最近は読書量が減っており、その背景にはAIの存在があるという。ただし、それでも本を読む意味はある、とも言う。それは一体何か? 古市氏の話に耳を傾けてみよう。
(以下、古市氏の新著『コミュ力不要の社交術』をもとに再構成しました)

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もう本は読まなくてもいい?

 AIの話題になると、ふと思います。こうして人間が本を書く時代はあと何年続くのだろうと。

 実際にはチェスや将棋のように、AIが人間の能力を超えた分野でも人間同士の試合が行われているわけですから、「作・人間」の文章が消えることはないでしょう。

 だけど、情報を得るだけならAIでよくなります。

 告白すると、僕自身、ここ最近、読書量が激減しています。たとえばバルカン半島の歴史を知りたかったら、日本語の本を読むよりも、AIと対話をしたほうが絶対に理解が深まります。

 日本語で書かれた本は情報が古かったり、内容が間違っていることさえもよくあります。一方で、AIは指示さえすれば、現地語の最新論文まで参照してくれます。

「バルカン半島の歴史をわかりやすく教えて」と聞いて、わからなかったことを聞いていくというのが王道。「コント風に面白おかしく教えて」「比喩を交えて教えて」など注文をすれば、さらに理解は進みます。

 歴史問題など、ややこしいことほど、本で読むよりも、AIに自分専用の家庭教師になってもらうのがオススメです。

「好奇心」の価値

 インターネットがない時代は記憶力に価値がありました。辞書のように何でも知っている人は「生き字引」として重宝されました。

 だけど今ではただの記憶力にはあまり価値がありません。

 AIが普及する前は思考力に価値がありました。

 だけど大抵のことにはAIのほうが適切な答えを示してくれます。

 そんな時代に大切なことがあります。

 それは好奇心です。

 いくらAIが優秀になっても、聞きたいことがないのでは宝の持ち腐れです。

 一方で好奇心がある人には最高の時代になりました。

 積年の疑問が次々に解消されていくはずです。

新潮社
2026年4月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。

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