本を効率よく読むためにまず真っ先に目を通すべきなのは「まえがき」ともう一つ…古市憲寿氏が勧めるAI時代の速読術

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作家で社会学者の古市憲寿氏 (C)蜷川実花

 知りたいことは大抵、検索すれば答が示される。知識を仕入れるために本を読む必然性は低下せざるを得ない。
 それでもネットですべての情報がカバーできるわけではないし、AIが往々にして「知ったかぶり」をするのもよく知られた話である。

 とはいえ、本を久しぶりに開いてみても、読むのがしんどい、先に進めない、頭が痛い……そんな人は、いくつかのテクニックを実践してみては、とアドバイスするのは作家で社会学者の古市憲寿氏だ。
 本を読む量が減ってはいるものの、仕事柄ある程度は読まざるを得ない古市氏は、どんなテクニックを実践しているのか。新著『コミュ力不要の社交術』をもとに見てみよう。

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誰でもできる速読術

 本を読む必要性はどんどん減っているという話をしました。

 だけどまだギリギリ、本でしか得られない情報や経験もあります。

 必要に迫られて読む、という人も多いでしょう。その際に活用できるテクニックがいくつかあります。

 まず、速読。昔から「速読」って魔法のテクニックのように語られていますよね。

 でも実際は速読なんて誰でもできます。

 一番簡単なのは、「何が目的でその文章を読むのか」を明確にしておくことです。つまり検索と同じです。自分が何を知りたくてその本を読んでいるかが明確な時は、読む速度を上げても、読むべき箇所が自然とわかるはずです。

 目的が具体的であればあるほど、本を読むスピードは速くなります。

 だけどそれは一般に考えられている読書とは違います。なぜなら、必要のない箇所を捨てていく作業でもあるからです。

 せっかくお金を出して買った本なのだから、最初から最後まで一字一句読まないと損だと考える人がいるかも知れません。

 でも想像してみてください。

 あなたは今、グーグル検索で「美味しいカレーの作り方」を調べています。検索結果に出てきたブログを、冒頭の挨拶からサイト運営者の自分語り、昨日の天気の話まで、一言一句もらさず読みますか? 絶対にしないはずです。スクロールして、材料と手順が書いてある箇所だけを探して読みますよね。

 ビジネス書や実用書を読むのも、これと同じでいいんです。本は「作品」であると同時に、情報を得るための「ツール」でもあります。

 具体的なテクニックとしては、まず「まえがき」と「あとがき」を読む。

 その上で、小見出しだけはきちんと理解できる速度でページをめくっていきます。自分にとって既知の情報や、目的に関係のないエピソードは、容赦なく無視してください。この「捨てる勇気」を持つことこそが、最強の速読術です。

AIはどんどん活用しよう

 本を読んでいて疑問に思ったことがあったら、どんどんAIに聞くのが正解です。

 大抵の本の著者よりもAIのほうが賢いので、本よりも正しいことを教えてくれることも多いです。有名な大学教授が書いた本も、情報が古かったり、事実レベルで間違っていることが少なくありません。
 
 AIに比べると、本は受動的でもいいメディアと言えます。ページさえめくっていけば、話題が次々に提供されるからです。

 その意味では、かつてのように本を「何かを教えてもらう媒体」ではなく、「問いを探すための媒体」と思ったほうがいいのかも知れません。

 最近はNotebookLMなどのAIに一度要約してもらってから本を読むという方法もオススメです。

 もちろん小説など趣味のために読書をする時は、自分のペースでゆっくりと読んでいいと思います。物語には、時間をかけて没入することでしか得られない情緒や感動があります。

 速読は、映画を倍速で観るようなものですね。

「情報収集のための読書」と「体験としての読書」を区別して、ギアを切り替えることが、本と賢く付き合うコツです。

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古市憲寿(ふるいち・のりとし)
1985(昭和60)年東京都生まれ。作家・社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員、日本大学藝術学部客員教授。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書に『絶望の国の幸福な若者たち』『絶対に挫折しない日本史』『正義の味方が苦手です』『昭和100年』など多数。
 
 
【関連記事】「高校生の7割は本を読まない」AI時代にあえて本を読む意味は?」では、「子どもの読書時間」について衝撃の調査結果と、AI時代の読書の意味について考えていく。

新潮社
2026年4月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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