「任せる」と「丸投げ」の違いとは? リーダーの行為の裏にある「文脈」に注目した『コンテキスト・リーダーシップ』がランクイン[新書ベストセラー]

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 4月21日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』が獲得した。第2位は『棺桶まで歩こう』、第3位は『2030 来たるべき世界』となった。

 今週も1位の『ユダヤ人の歴史』他、混迷する世界情勢を読み解くための基礎知識となる新書が数多くランクインしている。

 そんななか4位以下で注目は6位と10位にランクインした著作家の山口周さんによる2冊の新書。6位の『コンテキスト・リーダーシップ 「最高の上司」と「最悪の上司」は文脈で決まる』はリーダーシップについて新たな視点を提供する一冊。リーダーシップ本というと、優れた上司は「部下を傾聴する」「仕事を任せる」「ビジョンを示す」といった“正しい行動集”がよくみかける。しかし本書はそうした「行為」が大切なのではなく、その行為を意味づける、置かれた状況、組織、目的、メンバーの状態といった「文脈=コンテキスト」こそが大切だと説く。山口さんは同書の冒頭で「任せる」と「丸投げ」の違いを説明できるのでしょうか? と問いかけ、この二つはそれまでの状況で、片や「最高のリーダーの行為」とされ、片や「最悪のリーダーの行為」とされる、と述べる。そして《最高のリーダーとは、コンテキストを読解し、編集することで、行為にポジティブな意味付けを与えているのです》と解説している。同書で山口さんはコンテキストを、個人を取り巻く文脈(ミクロ・コンテキスト)、組織やキャリアの文脈(メソ・コンテキスト)、時代や社会の文脈(マクロ・コンテキスト)の三層に整理し、成功と失敗の実例をあげながら解説している。

 10位に初登場の『人文知は武器になる』は山口さんと実業家の深井龍之介さんの共著。人文知がどのように意思決定を支えるのかをテーマに、ビジネス・歴史・哲学を横断して議論した一冊。同書で山口さんはAIにより優秀さの定義がかわるなか、「正解を出す力の差」よりも「問の質の差」が大切になってくると説く。また国際社会で自国中心の論理が蔓延し「正しさ」がかつてほど誰にも明確ではなくなっていると分析。そんな時代に使えるのが人文科学だという。スノッブな教養ではなく、実際に社会の中で使える武器として、人文科学がどのように思考を変え、判断を変え、行動を変えていくのか、実例をあげながら解説している。

 混迷する世界情勢を読み解くため、また現代の組織や社会で求められる思考力を養うため、従来の経営学や歴史知識にとどまらない、より根源的な視点を提供する新書への関心が高まっていることがうかがえる。

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1位『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』鶴見太郎[著](中央公論新社)

ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。(中央公論新社ウェブサイトより)

2位『棺桶まで歩こう』萬田緑平[著](幻冬舎)

歩けるうちは、人は死なない 長生きしたくないという高齢者が増えている。不健康寿命が延び、ムダな延命治療によるつらく苦しい最期は恐ろしいと感じるからだ。著者は2000人以上を看取った元外科医の緩和ケア医。「歩けるうちは死にません」「抗がん剤をやめた方が長く生きる」「病院で体力の限界まで生かされるから苦しい」「認知症は長生きしたい人にとって勝ち組の証」「ひとり暮らしは、むしろ楽に死ねる」など「延命より満足を、治療より尊厳を」という選択を提唱。医療との向き合い方を変えることで、家で人生を終えるという幸せが味わえるようになる!2000人の幸せな最期を支えた「在宅」緩和ケア医が提言 病院に頼りすぎない“生ききる力”とは?(幻冬舎ウェブサイトより)

3位『2030 来たるべき世界』エマニュエル・トッド[ほか著]青山直篤[ほか聞き手](朝日新聞出版)

トッド、緊急来日。「西洋の敗北」が現実となった今、世界はどこへ向かうのか。そして2030年、激動の世界で日本に残された道とは何か。戦争への欲望とテクノロジーの暴走を前にした人類へ、世界最高の知性たちからの「最後の処方箋」(朝日新聞出版ウェブサイトより)

4位『生きる言葉』俵万智[著](新潮社)

5位『カウンセリングとは何か 変化するということ』東畑開人[著](講談社)

6位『コンテキスト・リーダーシップ 「最高の上司」と「最悪の上司」は文脈で決まる』山口周[著](光文社)

7位『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』川北省吾[著](講談社)

8位『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』加藤喜之[著](中央公論新社)

9位『イラン現代史 イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』黒田賢治[著](中央公論新社)

10位『人文知は武器になる』山口周[著]深井龍之介[著](文藝春秋)

〈新書ランキング 4月21日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2026年4月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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