新田義貞と足利尊氏は同格? 『太平記』史観に縛られてきた日本人の歴史認識を問う一冊が初登場[新書ベストセラー]

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新田義貞と足利尊氏(いずれもWikimediaCommonsより)/span>

 5月20日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『棺桶まで歩こう』が獲得した。第2位は『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』、第3位は『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』となった。

 4位以下で注目は、9位に初登場の『太平記史観 日本人の歴史認識を支配した物語』。中世日本史研究の気鋭・谷口雄太氏が、中世に成立した古典『太平記』が与えた影響を解説した一冊だ。鎌倉幕府の滅亡から南北朝の動乱、室町幕府成立に至る激動の時代を描いた軍記物語『太平記』は、単なる歴史叙述を超えて、後世の武士像・忠臣像を規定し、のちの尊王攘夷思想や皇国史観にまで繋がる強烈な影響力を持っている。著者はこの影響下で語られてきた歴史を「太平記史観」と規定し、その縛りを外した地点から歴史像を復元する作業に取り組んでいる。

 同書では、太平記のなかでライバルとして語られる新田義貞と足利尊氏は本当に同格だったのか、という疑問に答えるところから始まり、『太平記』の基礎知識から太平記史観の問題点、著者がそれに気づくに至った経緯、史観によって広まった誤った諸説、太平記史観を取り除いたうえで見えてくる新田氏の実像まで、最新の歴史研究をもとに解き明かしていく。私たちの常識を縛っているこの大いなる歴史観の影響力に、鋭いメスを入れた意欲作となっている。

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1位 『棺桶まで歩こう』萬田緑平[著](幻冬舎)

歩けるうちは、人は死なない 長生きしたくないという高齢者が増えている。不健康寿命が延び、ムダな延命治療によるつらく苦しい最期は恐ろしいと感じるからだ。著者は2000人以上を看取った元外科医の緩和ケア医。「歩けるうちは死にません」「抗がん剤をやめた方が長く生きる」「病院で体力の限界まで生かされるから苦しい」「認知症は長生きしたい人にとって勝ち組の証」「ひとり暮らしは、むしろ楽に死ねる」など「延命より満足を、治療より尊厳を」という選択を提唱。医療との向き合い方を変えることで、家で人生を終えるという幸せが味わえるようになる!2000人の幸せな最期を支えた「在宅」緩和ケア医が提言 病院に頼りすぎない“生ききる力”とは?(幻冬舎ウェブサイトより)

2位 『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』鶴見太郎[著](中央公論新社)

ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位 『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』川北省吾[著](講談社)

ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な移民排斥運動、権威主義的国家の台頭、トランプ2.0、そして民主主義制度基盤の崩壊……。「なぜ世界はここまで急に揺らぎはじめたのか?」。共同通信社の国際ジャーナリストが、混迷する国際政治の謎を解き明かすために、国際政治学者や評論家、政治家や現場を知る実務家へのインタビューを敢行。辿り着いた答とは?(講談社ウェブサイトより抜粋)

4位 『生きる言葉』俵万智[著](新潮社)

5位 『カウンセリングとは何か 変化するということ』東畑開人[著](講談社)

6位 『おどろきの刑事司法 “犯罪者”の作り方』村木厚子[著](講談社)

7位 『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』加藤喜之[著](中央公論新社)

8位 『人文知は武器になる』山口周[著]深井龍之介[著](文藝春秋)

9位 『太平記史観 日本人の歴史認識を支配した物語』谷口雄太[著](KADOKAWA)

10位 『2030 来たるべき世界』エマニュエル・トッドほか[著]青山直篤ほか[聞き手](朝日新聞出版)

〈新書ランキング 5月20日トーハン調べ ※書名・著者名・巻数などの表記はトーハン発表に基づく〉

Book Bang編集部
2026年5月23日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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