【産経Books】『[新装版] 写真で見る明治の軍装』藤田昌雄著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

■国力の充実を象徴

3月に公開された映画「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」は、明治末期の北海道を舞台に元日本兵らが金塊を巡り躍動するサバイバルミステリー。ミリタリーファンにとっては、明治期陸軍の軍装も見どころだが、『[新装版]写真で見る明治の軍装』は建軍以降の変遷を貴重な写真やカラー史料で再現した一冊だ。

著者は日本陸軍を中心とした軍事史研究者。西洋の近代国家に範をとった陸軍の軍装は当初、シンプルな被服体系だったが、年代をかさねるごとに兵科の増設や変化する戦場の状況に対応すべく進化をとげる。とりわけ、当初は装飾に主眼が置かれていた軍服の色彩は、戦場での戦闘隊形の変化を受け、最終的にカムフラージュ効果を主眼としたものになる。「国力の充実とあわせて、その進歩は眼を見張るものがありました」との著者の考察は、明治期の軍服の変遷の本質を言い表している。

興味深いエピソードも満載だ。西南戦争では動員部隊に対する被服供給が間に合わず、臨時制定の被服で対応したという。なお、その色彩が薄紺色だったことから、動員部隊は通称「鼠隊」と呼ばれた。

何よりも印象的なのが、兵士たちのりりしい表情だ。若き近代国家のエネルギーが伝わってくる。(潮書房光人新社・3850円)

産経新聞
2026年5月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。