奇跡の指輪がつなぐ、いくつもの恋。 宇山佳佑『いつか君が運命の人 Ⅰ』試し読み

試し読み

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「指輪って、心とつながるものなんだよ」
それは、片想いの相手と運命の赤い糸で結ばれたい、と願う少女の恋から始まった。
つれない恋人との関係に不安を抱くうちに彼が運命の人ではないと知ってしまった女子高生ほか、つけると運命の赤い糸が見える奇跡の指輪をめぐるさまざまな恋模様を描く。
感動の連作短編集『いつか君が運命の人 Ⅰ』(宇山佳佑・著)より、冒頭部分を公開します。

 ***

僕らはあの頃と変わらない

「どうして指輪って特別なんだろうね」

「特別?」

「ネックレスとか、ピアスとか、ブレスレットとか、アクセサリーって色々あるけど、指輪は特別な感じがするでしょ? どうしてなんだろう?」

「そりゃあ、結婚式で使うからじゃないかな」

「そういうことじゃなくて。もっとロマンチックなことを言ってほしいの」

「ロマンチック? 嫌だよ、恥ずかしいから」

「えー、いいじゃん! ちょっとでいいから言ってみてよ」

「そうだなぁ……。指輪って、心とつながるものなんだって」

「心と?」

「古代ギリシャだと、心は心臓にあるって思われていたんだ。その心臓と左の薬指は一本の血管でつながっていて、そこに『永遠』を誓った指輪をつけると――」

「相手の心と永遠につながれる?」

「そういうことかな」

「へぇ~、ロマンチック! そっかぁ、指輪にはそういう意味があったんだ。じゃあ、征ちゃんがくれたこの指輪があれば、わたしたちの心はずっと一緒なんだね」

「ずっと?」

「うん、ずっと! ねぇ、征ちゃん。初めて逢った桜の朝から、きっときっと、これからも、わたしはあなたのことが、ずっと、ずーっと――」

   「大好きだよ!」
 

宇山佳佑(うやま・けいすけ)
脚本家・作家。ドラマ『スイッチガール!!』『君が心をくれたから』、ドラマ・映画『信長協奏曲』などの脚本を執筆。著書に『ガールズ・ステップ』『今夜、ロマンス劇場で』『君にささやかな奇蹟を』『この恋は世界でいちばん美しい雨』『恋に焦がれたブルー』『ひまわりは恋の形』『風読みの彼女』などがある。

集英社
2026年7月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

集英社

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