入社10年目にして最下位の営業がトップに大逆転 上司の“意外な一言”から生まれた「雑談のテクニック」とは

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「戦略的雑談」でお客様の価値基準を見抜き、逆算して「クロージングの設計図」を描こう

 営業のゴールは、言うまでもなく「成約」です。でも、その成約に向かうまでのプロセスには、たくさんの仕込みがあります。その中でも、最初のステップであり、最も軽視されがちなもの――それは「雑談」です。
 多くの営業は、雑談を仲良くなるための手段だと思っています。もちろん、それも間違いではありません。でも、私の中ではもっと明確に位置づけがあります。
 雑談とは、相手の価値観(価値基準)を見抜くためのプロセスで、それをもとに「クロージングの設計図」を描く。この逆算思考こそが、私の考える「戦略的雑談」です。
 営業で一番怖いのは、「ズレた提案」をすることです。こちらはベストだと思って出した案が、相手にはまったく響かないなんてことはよくあります。その理由は1つ、価値基準を見誤っているからです。
「その人が、何を大切にしているのか」「どういう判断軸で物事を決めるのか」知らずにクロージングをしても、的外れになるのは当然です。
 そこで私は、雑談の段階で必ず相手の価値観を拾いにいきます。これは感覚ではなく、設計された会話の中で見つけに行くものです。

▼価値基準から見抜く5つのタイプと、タイプに合わせたクロージング方法
雑談の中で見えてくるお客様の価値観は、大きく5つのタイプに分けられます。もちろん人によって混合していることもありますが、会話を丁寧に観察していくと、その人が何を重視しているか、どこかで「核」がにじんでくるものです。雑談で見つけた「価値観」を見誤らずに拾えたなら、クロージングの一言は自然と決まってきます。

【タイプ1 安心・安全重視】
■特徴…過去の失敗談を話す/リスクを気にする/他社の事例を聞きたがる
「失敗したくない」「続けられるか不安」「周りがどうしているか気になる」
■クロージングの一言…「まずは小さく始めていただけます」「ほかの同業の方もこの形でスタートされています」「ご契約前に、じつくり検討いただいて大丈夫です」

【タイプ2 スピード・効率重視】
■特徴…話が端的/早口/結論を聞きたがる
「時間がもったいない」「サクッと決めたい」「今すぐ進めたい」
■クロージングの一言…「今すぐ始められます」「今のタイミングが、一番効率がいいです」「手続きは最短でここまで進められます」

【タイプ3 人・感情・ストーリー重視】
■特徴…家族や社員の話が多い/感情のこもる話に熱が入る/エピソードをよく話す
「誰とやるかが大事」「想いに共感した」「一緒にやるならこの人」
■クロージングの一言…「〇〇さんの想いに共感したからこそ、ぜひ一緒にやらせていただきたいです」
「このプランは、社員さんを大事にされる社長だからこそ意味があると思いました」
「提案というより“ぜひご一緒させていただけたら”という気持ちです」

【タイプ4 結果・数字・合理性重視】
■特徴…数値で物事を考える/比較検討が好き/論理的な話し方をする
「効果は?」「費用対効果は?」「ほかと比べてどう?」
■クロージングの一言…「数字で見ると、これだけの差が出ます」「損益分岐は〇か月でクリアできます」「他社と比較して、年間でこのくらい変わります」

【タイプ5 挑戦・成長・変化重視】
■特徴…新しい話題に食いつく/変化に前向き/未知の領域にワクワクする
「面白そう」「今のままじゃダメ」「新しいことを試したい」
■クロージングの一言…「これ、今まだやっている人少ないです。だからこそ面白い」「社長の“次の一手”として、めちゃくちゃハマると思いました」「これを形にできるのって、今しかないんじゃないかと思っています」

 雑談は営業における重要な武器です。しかし、それは「戦略的に行うからこそ」効果があるのです。よくあるのが、相手が話しやすい雰囲気をつくろうとするあまり、雑談が長くなりすぎてしまうケース。気づけば本題に入る時間が足りなくなり、「じゃあまた次回」という形で終わり……。これではせっかくの訪問も、ただのお茶会になってしまいます。雑談の目的は、「心の距離を縮めること」と「お客様の価値基準を含め、相手の情報を引き出すこと」です。だとすれば、話題の選び方にも、質問の投げ方にも意図が必要です。

 また、大切なのは、約束した時間で終わること。たとえ、話が盛り上がっていても、「そろそろお約束のお時間ですので」と締めることで、誠実さが伝わります。時間を守る営業は、信頼も守れる営業。だからこそ、時間の設計と管理は、成果に直結するのです。

 お客様は、ご自分の価値観に合わせて決断します。だから私は、お客様に合わせた言葉を選び、提案の角度を変えます。営業は「売り込み」ではなくて、「寄り添い」になるのです。そうして寄り添っていった結果、最後に、「この人、わかってくれてるな」と思ってもらえた瞬間、成約はもう目の前にあるのです。

松本義史(マツモトヨシフミ)
損害保険ジャパン株式会社勤務の会社員。福岡県出身。同志社大学卒業。営業歴20年。入社10年目、商談不成立15連敗を喫し、全国約5,000人の営業の中で最下位に沈む。成果を出そうとするほど空回りし、売り込みや根性論に限界を感じていた。転機となったのは、上司の「こうなったら20連敗を目指してみよう」という一言。肩の力が抜け、「売るのをやめてみるか」と“楽転思考”で臨んだ初打席の商談で、いきなり連敗を脱出する。雑談、質問、沈黙、選択肢の提示など、商談を一つひとつ見直した結果、上昇気流に乗り、2年後には2万人を超える同社で上位0.1%が表彰される「社長賞」を受賞。2022年からは副業でオンラインビジネスに挑戦し、2年間で累計1.5億円を売り上げた。これまでに社外研修は累計3,000回超、1,500名以上を直接指導。精神論ではなく、明日から現場で使える再現性の高い指導に定評がある。受講生から「営業未経験でも初月に100万円を達成できた」「自動車販売台数が月平均1.5台から5台に伸びた」などの声が寄せられる。

Fun-Life!
2026年8月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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