「殺人犯にならなければ脱出できない」ミステリランキングを席巻した『方舟』『十戒』の夕木春央、最新作『楽園』がランクイン[文芸書ベストセラー]

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 7月28日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『夏帆─The Tale of KAHO─』が獲得した。第2位は『楽園』、第3位は『口に関するアンケート』となった。

 2位に初登場の『楽園』は夕木春央さんが7月23日に講談社から刊行した最新作だ。夕木さんはこれまでも、閉鎖された空間での極限状態を描いたミステリを『方舟』『十戒』(ともに講談社)と発表してきた。今作はその流れを引き継ぐ一作。

『方舟』は2022年9月に刊行され話題となった。山奥の地下建築に訪れた10人が地震により閉じ込められた。水が流入しはじめ、水没までのタイムリミットは一週間。そんな極限状態のなかで殺人が起こる。まさかのどんでん返しが話題となり、週刊文春ミステリーベスト10 2022国内部門で1位を獲得した他、2023本格ミステリ・ベスト10 国内ランキング2位など各種ミステリランキングで高い評価を受けた。2023年本屋大賞にもノミネートされた。

『十戒』は2023年8月の刊行。無人島でリゾート施設を開業するために集まった9人の関係者が、島内で大量の爆薬を発見する。視察を終えた翌朝には不動産会社の社員が殺され、何者かから十の戒律が突きつけられた。三日間この島に留まること、そして犯人を探してはならないこと。破れば爆薬が起爆し、全員の命が失われる。犯人を追ってはいけない閉鎖空間で、恐怖と疑念が渦巻いていく。

 今作『楽園』も切り立った岩壁に四方を囲まれた、「楽園」と呼ばれる奇妙な土地が舞台のクローズドサークルもの。主人公たちはそこに暮らす住人に捕らえられ、驚くべき脱出の条件を突きつけられる。「誰か一人を殺さなければならない」。生き延びるための計算と、人としての一線。じりじりと煮詰められていく葛藤に、読者もまた追い詰められていく。前二作を読んでいなくても問題なく楽しめるが、『方舟』『十戒』を経てから手に取れば、作者の仕掛けはいっそう深く突き刺さるはずだ。

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1位 『夏帆─The Tale of KAHO─』村上春樹[著](新潮社)

「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」26歳の絵本作家、夏帆は初対面の男にいきなりこう告げられた。とびきり美しくも賢くもなく、ただ少しばかり好奇心の強い彼女は、怒りよりもショックよりも、ただ純粋に驚いた。しかしそれから彼女の周りでは、実にさまざまな奇妙な出来事が起こりはじめる。(新潮社ウェブサイトより)

2位 『楽園』夕木春央[著](講談社)

殺人犯にならなければ脱出できない。『方舟』『十戒』の著者が仕掛ける“禁忌の驚き”亡き両親から不動産を譲り受けた康之は、失踪した賃借人・海原の遺留品整理の際に、群馬の山奥の謎の物件の存在を知る。そこは、切り立った岩壁に囲まれた、「楽園」と呼ばれる奇妙な場所だった。恋人の沙織と一緒にそこを訪ね、探索をはじめた康之たちは、すぐに六人の“住人”に拿捕された。脱出のための条件はーー「誰か一人を殺さなければならない」(講談社ウェブサイトより)

3位 『口に関するアンケート』背筋[著](ポプラ社)

4位 『イン・ザ・メガチャーチ』朝井リョウ[著](日本経済新聞出版)

5位 『目が』背筋[著](ポプラ社)

6位 『王国』湊かなえ[著](マガジンハウス)

7位 『ファイア・ドーム 上』辻村深月[著](小学館)

8位 『月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった』川代紗生[著](サンマーク出版)

9位 『ファイア・ドーム 下』辻村深月[著](小学館)

10位 『ゾンビ回収婦』小砂川チト[著](講談社)

〈文芸書ランキング 7月28日トーハン調べ ※書名・著者名・巻数などの表記はトーハン発表に基づく〉

Book Bang編集部
2026年8月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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