【話題の本】『原始仏教』清水俊史著 気鋭のブッダ入門書

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7月23日の発売から5日で重版がかかった。気鋭の仏教学者が、ブッダの革新性と日本で信仰される大乗仏教のルーツに迫った、会心の入門書だ。担当編集者の黒沢陽太郎さんは、著者の前著『ブッダという男』(ちくま新書、令和5年)を読み、「ザクザクと小気味よく論を進める文体で、宗教関係の本に停滞感がある状況を打開する新しい書き手」とほれ込んで執筆を依頼。「古くならないテーマで、『現代新書』のロングセラーになる」と期待を寄せる。

著者は、平和主義やジェンダー平等でブッダを語る見方を退け、仏弟子が信仰心のもと編纂した初期仏典において「『神話』と『歴史』は不可分」だと述べる。仏教は「ローカルな自治共同体」であるサンガ(教団)の併立を許容した「異端のない多元的な宗教」であり、分裂した部派がブッダの言葉への信仰という共通目的で連帯しながら共存したことが、大乗仏教の成立につながった、と指摘する。

キリスト教やイスラム教とも比較しながら、仏教を相対化しているのも特徴だ。「仏教がほかの世界宗教とどう違うのか、実は分かっているようで知らない人が多く、本書の新しい部分」と黒沢さん。若い読者も増えたという。(講談社現代新書・1100円)

櫟原千寿帆

産経新聞
2026年9月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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