『成瀬』の宮島未奈が「『成瀬』を読んでいない人にこそ読んでもらいたい」 ギャル僧侶が寺を沸かす『ギャルにひかれて寺マルシェ』がランクイン[文芸書ベストセラー]

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 9月29日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『永遠の記憶』が獲得した。第2位は『イン・ザ・メガチャーチ』、第3位は『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~14』となった。

 4位以下で注目は6位にランクインした『ギャルにひかれて寺マルシェ』。2024年本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』の宮島未奈さんが、「成瀬あかりシリーズ」完結後に放つ最新作だ。主人公は、亡くなった父の酒屋を継いだものの、商売への向上心もなくなんとなく日々を送る30歳の英介。そこへ腐れ縁の悪友・光司が地元に帰ってくる。子どものころ近所の陵泉寺に埋めたという高価なポケモンカードを掘り起こそうと誘われ、偵察のために寺で開かれる〈寺マルシェ〉を訪れた二人が目にしたのは、ギャルメイクで法話を行う尼僧だった。彼女は陵泉寺の副住職・真実子。かつての優等生だった元同級生である。呆気にとられる英介をよそに、光司は真実子を〈ギャル僧〉として売り出し、金儲けすることを思いつく。タイトルはことわざ「牛に引かれて善光寺参り」をもじったもので、大人になりきれない大人たちが少しずつ前を向いて歩き出す青春ストーリーだ。

 宮島さんは刊行記念インタビューで、最初の打ち合わせは2024年2月で、「最初はラブコメを書いてください、というオーダーだった」と明かす。当初は幼なじみ3人の三角関係を描き、章ごとに視点人物を変える案もあったが、そうしない方が面白くなりそうだと思い、恋愛の要素はなくなっていったという。ヒロインも《ヒロインがお坊さん、それも普通のお坊さんじゃ面白くないから、ギャルにしたらどうか》と思い立ち、構想から2年半あまりを経て現在の形に落ち着いたという。

 ヒントになったのは、滋賀・石山寺の座主が女性だったこと。実際に取材で話を伺い、「縁日」とは人を結ぶもので、お寺がそういう役割を果たしていると聞いて、お寺を舞台に人が友情を深めていく物語だとイメージを固めたそうだ。「寺マルシェ」も、自宅の近くで開かれる催しに足を運び、小規模ながら地域住民のコミュニティとして息づいている様子を実感した経験が生きているという。

 キャラクターへのこだわりも語っており、光司は《「男はつらいよ」の寅さんや、「こち亀」の両さんのイメージ》で、お金が大好きで胡散臭いのにどこか憎めない悪友。観察役の英介は《「普通」というのも変ですが、多くの読者の方が共感しやすいキャラクター》だ。真実子は連載時こそギャルでいることに迷いを抱える人物だったが、単行本化の改稿時に《ギャルとして胸を張っているキャラ》へと大きく手を入れたという。光司がマルシェで占いの店を出す展開も「ふと閃いた」もので、《イオンに行って、占いのアイディアを得て、すぐにマルシェで店を出す、みたいなテンポ感は、結構気に入っています》と振り返る。

 執筆は「これまでで一番スムーズに書けた感じがします」。《今の私はこういう書き方が出来るんだ、というのは、ひとつの自信になったように思います》と語り、《現時点での私の到達点がこの「ギャルひか」だと思っていて》《「成瀬」を読んでいない人にこそ読んでもらいたいですね》と、新作への自信を明かしている。

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1位『永遠の記憶』東野圭吾[著](文藝春秋)

ガリレオシリーズ、待望の最新長編! 内海薫が刺された。 犯人は70歳ほどの老人。飛び降り自殺を図るも失敗し、 取り調べには黙秘を貫く。 やがて内海に恨みを抱く若い娘が捜査線上に浮かぶが、 老人との関係は不明。それどころか、内海への本当の復讐はこれからだった。 彼女が迫った「究極の選択」とは一体――。 一方、湯川と草薙は、老人の“ある持ち物”を手掛かりに、 「忘れてはいけない謎」の扉を開く。 シリーズ最新、最高峰の謎がいま明かされる。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『イン・ザ・メガチャーチ』朝井リョウ[著](日本経済新聞出版)

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」(日本経済新聞出版ウェブサイトより)

3位 『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~14』甘岸久弥[著](KADOKAWA)

魔物討伐部隊最大の危機。ダリヤの祈りが反撃の一矢を導く!?(KADOKAWAウェブサイトより抜粋)

4位 『アラームが鳴らないうちに』川口俊和[著](サンマーク出版)

5位 『春までのセンセイ』早見和真[著](双葉社)

6位 『ギャルにひかれて寺マルシェ』宮島未奈[著](KADOKAWA)

7位 『月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった』川代紗生[著](サンマーク出版)

8位 『神達に拾われた男 19』Roy[著](ホビージャパン)

9位 『それでも光に手を伸ばす』Payao[著](KADOKAWA)

10位 『ファイア・ドーム 上』辻村深月[著](小学館)

〈文芸書ランキング 9月29日トーハン調べ ※書名・著者名・巻数などの表記はトーハン発表に基づく〉

Book Bang編集部
2026年10月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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