東京彰義伝
内容紹介
江戸はいかにして東京になったのか?
戊辰戦争から江戸城無血開城、そして上野戦争――下町娘と“宮さま”の出会いが江戸の運命を変える!
明治十五年、新政府は維新において功績のあった者たちに報告書を出すよう求めたが、上野戦争で死んだ者の菩提を弔うための寺を作ろうとしている山岡鉄舟はどこ吹く風。剣弟子の香川善治郎は、すでに詳細な書面を出した勝海舟に江戸城の無血開城はじめすべての功績が奪われるのではないかと気が気ではないが、他人のメンツをつぶすような野暮を嫌う江戸っ子の鉄舟は、手柄は勝のものでよいと言って取り合わない。それでも江戸の町を戦火から守り、東京の礎を築いたのは師匠であると信じて疑わない香川は、書面の代筆を願い出る。そう思いつめる香川に鉄舟は、なぜ江戸が東京になりえたのか真実が知りたかったら「この町そのものである女」佐絵の話を聞くがよいと紹介状を書く。
下町の名物湯屋「越前屋」の娘・佐絵と上野寛永寺の若き輪王寺宮の間には知られざる深い絆があった――。
「すぐに、出立しよう――江戸の民を、守るのだ」
江戸を壊滅させようと迫りくる官軍をかき分け、駿府城の総督府へと向かう輪王寺宮の思いとは?
データ取得日:2023/05/23 書籍情報:openBD