人質の経済学

人質の経済学

著者
ロレッタ・ナポリオーニ [著]/村井 章子 [訳]/池上 彰 [解説]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784163905808
発売日
2016/12/28
価格
1,925円(税込)

内容紹介

◆トランプ後の世界に必読の一冊◆

「恐ろしい本。
人間が、単なる商品として取引される実態を克明に描く」
解説:池上彰(ジャーナリスト・名城大学教授)

交渉人、誘拐専門の警備会社、囚われた人質、難民らによって明らかになる事実。

・一番金払いが良いのはイタリア政府。
それゆえここ15年ほどの間に大量のイタリア人が誘拐されている

・助けたければ誘拐直後の48時間以内に交渉せよ

・武力による救出の3回に1回は失敗に終わり、人質または救出部隊に死者が出る

・10年前、200万ドル払えばイラクで人質は解放された。
今日ではシリアでの誘拐で1000万ドル以上支払う

・誘拐された外国人は出身国によって、助かる人質と助からない人質に分けられる

・誘拐組織は難民たちの密入国斡旋に手を拡げ、
毎週数万人をヨーロッパの海岸に運び、毎月一億ドル近い利益を上げている

【目次】

■はじめに 誘拐がジハーディスト組織を育てた
二〇〇四年イラクで誘拐された欧米人は二〇〇万ドルの身代金で解放された。
しかし今日ではシリアでの誘拐で一〇〇〇万ドル以上を払うこともある。本書
は、誘拐によりいかにジハーディスト組織が成立し、伸長していったかを描く

■序章 スウェーデンの偽イラク人
二〇〇六年スウェーデンの大学街で、私は「イラク」人に話しかけられた。そ
のイントネーションから彼が「イラク」からの難民ではないこと、北アフリカ
のどこかから来たことはすぐわかった。その男は、誘拐をビジネスにしていた

■第1章 すべての始まり9・11 愛国者法
愛国者法の成立で、金融機関はドル取引を米国政府に報告することになった。
コロンビアの麻薬組織は、ドル決済にかわりユーロ決済を選択。イタリアの犯
罪組織と接触し、ギニアビサウからサハラ砂漠を越え欧州へ入るルートを開拓

■第2章 誘拐は金になる
麻薬密輸ルートはやがて、生身の人間を運ぶようになる。北アフリカでの誘拐
でも、二〇〇四年からイラクで始まった誘拐でも、政府が金を払った。そして
イタリアと日本の政府が支払った身代金は将来の誘拐を助長する結果を生んだ

■第3章 人間密輸へ
サハラ縦断ルートでは誘拐の多発で観光客が途絶えた。そこでジハーディスト
組織が目をつけたのが人間の密輸だ。リビアの海岸からイタリアへボートで渡
るルートが一人一~二〇〇〇ドル。誘拐よりも儲けが多く、容易なビジネスだ

■第4章 海賊に投資する人々
一年で一〇〇〇人を超す誘拐を繰り返すソマリア海賊は、投資する人々がいて
初めて船を出せる。誘拐が成功すれば、出資者に利益の七五%が還元される。
海賊の取り分は残りの二五%だけだ。ソマ

データ取得日:2024/04/25  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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