文学の歴史をどう書き直すのか

二〇世紀日本の小説・空間・メディア

文学の歴史をどう書き直すのか

著者
日比 嘉高 [著]
出版社
笠間書院
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784305708236
発売日
2016/11/22
価格
2,750円(税込)

内容紹介

文学の歴史を書き直すために、何に出会い、どう書くか。
さまざまな切り口がいざなう、近代日本文学研究の可能性。

既存の思考の呪縛のうちにある、「文学研究」を取り囲む〈枠〉と格闘し、どうもがいたか。「空間」「文学史」「メディア」をテーマに、全11章で考えていく書。

【 小説は何をどのように書いてもよいと、鷗外が言ったとき、彼は「夜の思想を以て」と付していた。ここまで私は、文学研究は何をどのように書いてもよいといい、文学研究と隣接領域との交通の重要さを主張したわけだが、しかしそもそも「文学(研究)」の内/外という物言い自体が、既存の思考の呪縛のうちにある。「文学」と「研究」がその姿を変えないまま「外」といくら交渉を重ねても、一時しのぎの意匠が増えていくだけだろう。
 本当に新しいものは、見晴らしのきく昼の世界においては見つからない。わかりきったルーティーンの作業と、それに慣れきった思考が支配するのが昼の世界である。鷗外は役所勤めでへとへとになった自分を一度眠らせ、深夜に起き出して原稿を書いた。「昼の思想と夜の思想とは違ふ」(「追儺」五八七頁)。昼の怠惰な明澄さを眠らせ、文目も分かぬ「夜の思想」にいかに分け入るか。そこで何に出会い、どのように書いていくのか。もちろん、夜の冒険は昼の冒険よりも格段に難しい。】……本書「空間・文学史・メディア 何に出会い、どう書いていくのか」より

データ取得日:2024/04/20  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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