鉱山のビッグバンド

鉱山のビッグバンド

著者
小田 豊二 [著]
出版社
白水社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784560092606
発売日
2016/07/27
価格
2,420円(税込)

内容紹介

廃墟から聞こえる幻の楽団の響き
 梶田隆章のノーベル物理学賞受賞で湧く、岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデ。その1000メートル上には、かつて東洋一の採掘規模を誇り、同時に「イタイイタイ病」の原因企業ともなった三井金属神岡鉱山の集落が、廃墟となって静かに眠っている。
 昭和30年代、鉱山が好景気に沸き返っていたころ、この地区には約800世帯、4000人が暮らしていた。社宅にはテレビ、冷蔵庫、洗濯機はもちろん、水洗トイレまで完備されており、まさに「天空の楽園」だったという。
 あるときそこに、「音楽は好きだけれど、楽器もない、譜面も読めない」鉱山労働者たちが集まり、「神岡マイン・ニュー・アンサンブル」なるビッグバンドが結成された。三交代制のなか猛練習を重ね、彼らは集落の人々を楽しませるばかりでなく、企業の音楽部等がその実力を競う産業音楽祭中部大会で13回連続優秀賞受賞という大記録を打ち立て、東京でも公演を行う玄人はだしの集団となっていった。
 本書は廃墟の風景から聞こえてくる幻の音楽と彼らの熱い思いを、生存者への取材等から浮かび上がらせる、「昭和」のドキュメントである。

データ取得日:2024/04/19  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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