幾世の底より 評伝・明石海人

幾世の底より 評伝・明石海人

著者
荒波 力 [著]
出版社
白水社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784560095225
発売日
2016/12/03
価格
7,260円(税込)

内容紹介

ハンセン病と闘った幻の大歌人
 昭和13年、改造社が『新萬葉集』を刊行する際、全国から募った短歌の中に、齋藤茂吉、釈迢空、与謝野晶子ら審査員をひときわ驚かせる作品があり、うち11首が収録され、全く無名の歌人が彗星のごとく世に躍り出た。
 それらの作品は、国立らい療養所・長島愛生園で療養しているハンセン病患者からのものだった。のちにベストセラーとなる歌集『白描』の作者、明石海人である。
 当時彼はすでに失明しており、作品は口述筆記での応募だったが、『新萬葉集』刊行後、彼の歌を絶賛する評論が相次ぎ、「現代の万葉調」随一の作者だという世評も高まっていった。しかしその2年後、幻の大歌人はわずか37年の生涯を閉じることになったのである。
 本書は前作『知の巨人 評伝生田長江』に続き、ハンセン病作家への並々ならぬ畏敬の念を抱く著者が、酷い差別偏見にさらされ、過酷な宿命に翻弄されながら、生きる希望と家族への愛を歌い続けた歌人の生涯を、地を這うような取材を基に浮かび上がらせた、渾身の力作である。
 表題は代表作の一つ「さくら花かつ散る今日の夕ぐれを幾世の底より鐘の鳴りくる」から。

データ取得日:2024/04/15  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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