社会のなかのコモンズ
公共性を超えて
内容紹介
ともに生きる、新たな方法
東日本大震災以降、以前にも増して「コモンズ」という言葉を聞く機会が増えてきた。人口が減少し低成長を余儀なくする時代に、なぜこの概念が脚光を浴びることになったのか? 日本の社会科学を牽引する論客が回答を与えようとしたのが本書である。
「コモンズ」が人口に膾炙するきっかけとなったのは、ギャレット・ハーディンの「コモンズ(共有地)の悲劇」論文(1968年)だった。
本書では、1990年代に流行った「公共性」論、さらにはリベラリズム・コミュニタリアニズム・リバタリアニズムといった思潮を再考しながら、この概念を彫琢するとともに、いかなる場でこの概念が有効か検証していく。
大正日本の「社会」への眼差し、まちおこしが大きな課題となっている商店街、持ち家社会で周縁化した戦後日本の公営住宅、豊かさから取り残されたカナダのインディアン保留地、利益分配が出来なくなった政党、時空を超越する宇宙・サイバー空間、移民危機に揺れる欧州国民国家──。
そこで浮かび上がってくるのは、「公」か「私」かではなく、「公」と「私」をいかに媒介する論理を見つけだすかである。これまでの公共性論の視界に入らなかったものは何なのか? 2020年代の「公私」論の決定版。
データ取得日:2024/04/13
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます