関西弁で読む遠野物語
内容紹介
『遠野物語』は、日本民俗学を始めた柳田国男(1875~1962)が
現在の岩手県遠野市出身の佐々木喜善(鏡石)から聞き書きした話をまとめ、1910年に出版したものです。
『遠野物語』の怪異かつ濃密な世界に入っていくのに、文語体に阻まれて戸惑う人も少なくはないでしょう。
しかし、ここに収められた伝承は「語り」によって受け継がれてきたものです。
おじいさん、おばあさんが囲炉裏を囲んで孫に聞かせる。
また村の物知りが、子どもたちに言い伝える。
そんな『遠野物語』の語りを甦らせるため、
語り言葉として現在多くの人に受け入れられている、関西弁に「翻訳」しました。
柳田国男もまた、兵庫県の生まれです。晩年の自叙伝『故郷七十年』によると、
「私はとうとう故郷を離れて七十年間、上方の方のアクセントですごしてしまった」
「とうとう私も子供の時分に身につけたアクセントが一生なおらないらしい」
と述懐しているのです。
柳田が二歳の時に亡くなった母・たけが生きていたら、
「東北の遠野っちゅうとこに伝わってる、けったいな話をぎょうさん聞いてきてん。これからおかんに聞かせたるなぁ」
と語ったかもしれません。
関西弁翻訳・解説は大阪生まれの民俗学者、畑中章宏氏。
イラストは身近に存在する不思議を描いてきた、スケラッコ氏。
データ取得日:2024/04/19