漱石と熊楠
同時代を生きた二人の巨人
内容紹介
いま二人の巨人の生涯を辿る。
同年生まれ、イギリス体験、猫との深い因縁。
〈森の人〉と〈都会の人〉のかけはなれた知性が存在し、生きた時代には活力と幅の広さ、深さがあった。
異質な二人の生涯を並列させてその地平から見えてくる〈風景〉とはなにか。
熊楠は、人間をはじめ全てを包蔵する〈この世界〉の秘密の解明に向かい、漱石は「個」の内部に錘鉛を下ろし、〈この世界〉に生きる人間の内実を追究した。そう考えてくると、少し大袈裟かも知れないが、近代から現代にかけての大方の思想潮流は、漱石と熊楠の間にすっぽりとおさまってしまうような気がする。そしてそれが、漱石と熊楠の間、その隔絶の意味なのである。〈「終章」より〉
データ取得日:2024/04/17