あおあお

あおあお

著者
藤代 冥砂 [著]
出版社
赤々舎
ISBN
9784865410471
発売日
2016/06/16
価格
2,860円(税込)

内容紹介

空と海のあいだ。海と森のあいだ。
あおあおと満ち、うごき、連なるいのち。

光と色と祈りに満ちて

5年分の写真を振り返ると、気になる写真には光と色とがあった。
それは結構な量だったので、一冊にまとめてみたいと思った。
赤々舎の姫野さんに持っていくと、写真が上手ですね、と褒められた。写真が上手と言われたことはほとんど無かったので、
そうか、写真うまいのか、と嬉しく思った。それは去年の冬の始まりの頃だった。
その後、たくさんの沖縄写真を持っていった。600枚くらいだったと思う。何度も会って、感想を交換した。
写真の種類はもう少しだけ幅があったのだけど、自然に光と色でまとめる方向へと定まっていった。それらに私の
正対する視線がより強く残っていたからだ。その間、私は自分の撮った写真と現実の沖縄での暮らしを、何度も何度も
往復して、矛盾は無いか、嘘は無いか、をしっかりと確認した。大丈夫だった。
私は、光と色に添うようにして沖縄で5年を暮らした。島の歴史や現在の問題はそこに居れば、目に見え、耳に聞こえ、
肌で感じられる。それを写そうと思わなかったのは、光と色に託してみたかったからだろう。それは無意識の選択でもあったが、
強度があった。自分の持ち場はそこにあるのだと直感したのだと思う。 島の自然や暮らしの断片を通して輝く光と色の原初の美しさは、言葉にするならば、あおあお、であり、
意味にするなら、祈り、に近いと感じた。私はあおあおとした世界で島の幸福を祈っている。
構成としては、海から始まり海で終わっている。水の循環である。終わりの一枚では、父が子供に何かを唱えている
儀式のようにも見える。光が沈む頃の崇高さは、時代と場所を問わないだろう。そして朝が来れば、
はじめのページへと戻る。光と色と祈りに満ちた一日がまた始まるのだ。

藤代冥砂

データ取得日:2024/04/15