アミターバ 無量光明
内容紹介
死の瞬間、私たちは、何を見るのか――?
現役僧侶の芥川賞作家が、死のプロセスを圧倒的なリアリティで描いた「究極の物語」。
2003年刊、作家、批評家から絶賛された小説を復刊。
死の瞬間、私たちは、何を見るのか。魂はあるのか。それは、どこへ行くのか?
がんを患った女性の「死の瞬間とその後」を、禅僧の作家が臨死体験記録や宗教体験をもとに、迫真のリアリティで描いた作品。
――娘夫婦の住む東北に移り住んだ「私」は、80歳を目前にして難治のがんに侵される。死後、魂はどうなるのか。地獄はあるのか。夫が迎えに来る、なんてことはあるのか。娘の夫で僧侶の慈雲さんに、病床でそんなことを尋ねると、仏教の話とともに、物理学やエネルギーの話まで一生懸命にしてくれる。
「アミターバ。つまり無量の光。あるいはアミターユス。無量の命。要するに阿弥陀さんですよ。いいですかお母さん、極楽浄土ってのは、なにか私らには計り知れない存在の意志や思いが実現してる場所らしいんですよ。それを疑わないことです」
家族と語らいつつ、徐々に死を受け入れ、心に残る時と場所を意識が往来するうち、「今ここ」と夢や記憶の境い目、それらを一つにまとめあげる時間の感覚も次第に薄れいく。そして、光に満たされた圧倒的な体験とともに「私」が見たものとは…?
近親の死を見送った方々をはじめ、多くの共感を得て、作家、批評家諸氏に絶賛された「死という出来事」を追体験する究極の小説。
データ取得日:2024/04/19