1万人を教えて分かった「子どもが読書にハマる仕掛け」とは? 東大発で話題の1冊から「2つのコツ」を公開
「読み聞かせ」は何歳になってもOK! 「考え聞かせ」もおすすめ
文字を読めるようになったら読み聞かせをやめたほうがいいと考える人もいるようです。
しかし読み聞かせは、何歳まででも続けて問題ありません。読み聞かせは読書体験を広げる手段のひとつだからです。
子どもが「読み聞かせをしてほしい」というとき、それは「大人と一緒に過ごしたい」という気持ちのあらわれである可能性があります。
ひとりで読むことにさみしさを感じている子どもでも、大人が読み聞かせをすれば温もりを感じながら楽しむことができます。
また、その本を通して感じたことを話し合い、共有する喜びも堪能することができます。
そうした体験は読み聞かせを卒業した後も、子どもの読書習慣を精神的に支えてくれるはずです。
もちろん、読み聞かせをするばかりではなく、ひとりでも本を読む力を身につけることは必要です。
しかし、たとえ自分では読んでいなくても、本から刺激を受けたりその楽しさに触れたりする機会を増やすのは、読書の習慣化においても、そして子どもの成長にとっても望ましいこと。
そうした機会によって子どもは、読書を好きになっていくのです。
また、考え聞かせも、読書体験を広げる手段になります。
「考え聞かせ」では、大人が読み聞かせをしながら実況中継のように、「どんなところに注目しながら読んでいるのか」を伝えます。
伝えるのは、そのとき素直に感じたことだけでOK。
大人ならではの深い考えや、正しい解釈を伝えられなくても問題ありません。「この絵には~が描いてあるね」といったシンプルな感想だけでも十分です。
本の実況中継をするように、見たこと・感じたことを言葉にしてみてください。
もしも間違えたことを言ってしまっても「そうじゃないよ! ~って書いてあるよ!」などとツッコミを入れ合って楽しめば盛り上がります。
子どもにとってはそうしたやりとりが、自分の予想やイメージと異なる部分を意識しながら丁寧に読む練習にもなります。
考え聞かせは、読書の先輩である大人がどのように本を読み、考えたり感じたりしているのかに触れる絶好の機会です。
そうした積み重ねによって子どもは、読むというプロセスの楽しみ方を知り、深く考えながら読めるようになっていくはずです。
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笹沼颯太(ささぬま・そうた)
1999年千葉県生まれ。株式会社Yondemy代表取締役。 筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。 2023年、東京大学経済学部経営学科を卒業。同大在学中の2020年に中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。 起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。