大矢博子 ジャニ読みブックガイド
2019/02/13

[懐かし]相葉雅紀・松本潤・横山裕が豪華共演!「新宿少年探偵団」から見えてきたもの

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 大事なモノにホントの事にキスしたい皆さん、こんにちは。ジャニーズ出演ドラマ/映画の原作小説を紹介するこのコラム、年末の「8時だJ」の特番とカウコンを見て、これはもうJr.黄金期を取り上げるしかないと星に誓いましたよ。ってことで、今回は懐かしのコレだ!

■相葉雅紀、松本潤、横山裕・主演!「新宿少年探偵団」

 いつもならこの小見出しは人名のあとに(嵐)とか(関ジャニ∞)とかって所属グループ名を入れるんだけど、今回はナシ。理由はわかるね? 当時の3人はまだJr.だったから。松潤なんか声変わり前だぞ! 共演はデビュー間もない深田恭子と加藤あいで、今見ると豪華すぎて目眩がする。相葉ちゃんの「貴族探偵」(2017年、フジテレビ)に加藤あいがゲスト出演した時には、ツイッターで「宿少!」と盛り上がったもんです。

 映画「新宿少年探偵団」(松竹)が公開されたのは1998年。原作は太田忠司の同名小説『新宿少年探偵団』(講談社文庫)で、シリーズは9巻まであるが映画は第1作をベースにしている……はずなんだけど、ごく基本的な設定を借りているだけで、内容はまったく異なる。

 探偵を自称して街をうろつく壮助(相葉)、コンピュータが得意な秀才の謙太郎(松本)、アイドルの美香(深田)、空手が得意な響子(加藤)は、それぞれ心に鬱屈を抱える中学生。4人はある出来事をきっかけに正体不明の人物・蘇芳(横山)から少年探偵団を意味するBDバッジを受け取るが、それは闇の科学との戦いに巻き込まれる前触れでもあった──というのが映画の設定。

 映画ではSFバトル的展開はあるものの、親との関係や仲間との友情など、青春映画らしいテーマが前面に出ている。機械獣との戦いも、公園でのきゃっきゃうふふも、「俺たちは友だちだ」で決着するあたりも、往年のNHK少年ドラマシリーズ(喩えが古くてすみません)みたいなイメージだ。しかもエンドロールのあと唐突に始まる黄金期ジャニーズJr.の「Can do! Can go!」in ハワイ。いや待って、ハワイ関係なくない? と疑問を抱く暇もなく、懸命に目を凝らして自担を探すのであった。ああ、楽しき哉ジャニーズ映画!


イラスト・タテノカズヒロ

■むしろ原作の方が相葉ちゃん・松潤にぴったり!

 では原作はどんな話か。アイドルにスカウトされたという美香に付き添いを頼まれた同級生の壮助、謙太郎、響子。だがそれは、ある野望を持ったマッド・サイエンティストの罠だった。4人は謎の人物・蘇芳の指揮で少年探偵団を結成、各々の特技を生かし、新宿にうごめくさまざまなマッド・サイエンティストたちと戦っていく──というもの。

 原作は江戸川乱歩の「少年探偵団」の現代版であり、円谷プロの「怪奇大作戦」へのオマージュである。友情とか成長とかももちろんあるが、それよりどんな敵とどんな作戦で戦うんだろう、どんなメカが出てくるんだろう、この人の正体は何なんだろう──というところにワクワクさせられるSF冒険活劇なのだ。マッドサイエンティストたちの背景も対抗する蘇芳の背景も、細部まできっちり組み立てられている。中二心をくすぐる設定や小道具やセリフがばんばん出てくるぞ。第1巻は1995年の刊行。今のラノベの走りと言ってもいいんじゃないかな。

 で、本稿を書くために久しぶりに原作を再読したのだけれど。いやはや驚いた。映画より原作の壮助と謙太郎の方が、まるで当て書きされたように相葉ちゃんと松潤にぴったり重なるのだ。原作の壮助はおおらかで朗らかで、考えるより即行動タイプ。馬鹿と言われて、中学生なのに「ひとのことを馬鹿って言うほうが、馬鹿なんだぞ!」なんて返しちゃう。映画ではおとなしめだった謙太郎は、原作ではクールな頭脳派。「俺、理路整然としてないことが大っ嫌いなんだ」と言い、突っ走る壮助にブレーキをかけ、冷静に全体を見渡す。どうよ、むしろ映画のキャラよりずっと相葉ちゃん・松潤に似合いそうじゃない? もう完璧にジャニ読みできたもの私。

 おっと、ヨコのことも忘れてませんよ。映画のヨコはミステリアスで美しかったわー。ほんとは喋りの上手い関西のお兄ちゃんなのに、袖口ひらひらレースの貴族のようなコスプレ的役柄(しかも標準語)をよく頑張ってやり切った……。ただ、原作の蘇芳って、もっと高飛車で傲岸不遜なキャラなんだよね。「僕の天才的頭脳を見くびるな」とか「貴様らの渇きを癒すのは、僕しかいない」といった言葉遣いなので、ヨコでジャニ読みするときには、脳内で関西弁にならないように注意して!
 

■〈縦の継承〉のジャニーズに〈横の連関〉を成立させた黄金期Jr.

 ジャニーズは多くの映画に出演しているが、それとは別に「ジャニーズ映画」と呼ばれる系譜がある。グループ全員が主役級で出演し、主題歌や挿入歌も担当し、製作に事務所が大きくかかわるジャニーズによるジャニーズの映画だ。嵐の「ピカ☆ンチ」(2002年、ジェイ・ストーム)やSMAPの「シュート!」(1994年、松竹)がこれにあたる。始まりは70年代のフォーリーブスで、最も盛んだったのは80年代、「青春グラフィティ スニーカーぶる〜す」(1981年、東宝)を第1作とする田原俊彦・近藤真彦・野村義男の「たのきんスーパーヒットシリーズ」だ。

「新宿少年探偵団」もこの流れを汲んでいる。だが注目すべきは、デビュー前のJr.が主演を務めたのはこれが初めてだったということ。それまではあり得なかったこの企画が実現したのは、90年代終盤の、黄金期と呼ばれたジャニーズJr.の存在ゆえだ。タッキーとすばるを中心に、その後の嵐、関ジャニ∞、FOUR TOPS、そして翼がいた時代。下積みのはずのJr.が冠番組を持ち、三大ドームや武道館でコンサートを行うまでになった時代。

 もちろんそれまでも、少年隊や光GENJIのバックで踊るJr.に注目するファンは多くいた。けれどやはり黄金期がひとつの転換点となったのは間違いない。彼らはJr.だけのコンサートや番組を一緒に作り上げていく中で、それまで〈縦の継承〉を中心に構成されていたジャニーズ(第43回「犬神家の一族」参照)に、初めて〈横の連関〉を成立させたのだ。

 タキツバ最後の舞台となったカウコンでFOUR TOPSがバックを務めた時、そこにあったのは、後輩を労う先輩でも、先輩を追いかける後輩でもなく、同じ時代を作ってきた同期の姿だった。それが感慨深かった。この〈横の連関〉は、アイドルや俳優として第一線で活躍する彼らのスタート地点であると同時に、戻ってくる場所でもあるのだ。それが黄金期の強さだ。だからきっと、嵐も帰ってくる。そう確信できる。なんならその時はまたみんなで、ハワイで「Can do! Can go!」歌っちゃいなよ!

 そもそもカウコンは、TOKIO、V6、KinKi Kidsというデビュー年の近い3グループが阪神淡路大震災チャリティーのためにJ-FRIENDSを結成してして始めたものだ。思えばそれが〈横の連関〉の胎動だったのかもしれない。そしてこの〈横の連関〉がJr.黄金期を経て〈縦の継承〉に組み込まれた。今年3月、ジャニーズJr.が集結した映画「少年たち」が公開される。再び強い〈横の連関〉によって、第二の黄金期が訪れたのである。

【ジャニーズはみだしコラム】

 ジャニーズ映画には主演グループとは別に、先輩や後輩が脇役として出演する慣習があった。たとえば「青春グラフィティ スニーカーぶる〜す」には川崎麻世とおりも政夫が出演しているし、「シュート!」には後にV6となるイノッチと長野くん、友情出演としてKinKiのふたりに元男闘呼組の前田耕陽もいた。そのイノッチが今度は先輩として脇を固めたのが嵐の「ピカ☆ンチ」だ。
「新宿少年探偵団」には、相葉ちゃん・松潤・ヨコ以外のジャニーズはいなかった。これは異例ではあったが、〈横の連関〉だけで作品を作るという挑戦だったとも言える。
 そして「少年たち」には、その「宿少」に出演したヨコが後輩を見守るように看守役として登場。ABC-Zの塚ちゃんがナレーターとしてサポートする。〈横の連関〉の中に、しっかり〈縦の継承〉が存在しているのである。

大矢博子
書評家。著書に「読み出したら止まらない!女子ミステリーマストリード100」など。小学生でフォーリーブスにハマったのを機に、ジャニーズを見つめ続けて40年。現在は嵐のニノ担。

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