『脳のなかの天使』
- 著者
- V・S・ラマチャンドラン [著]/山下 篤子 [訳]
- 出版社
- KADOKAWA
- ジャンル
- 文学/外国文学、その他
- ISBN
- 9784041101049
- 発売日
- 2013/03/22
- 価格
- 2,090円(税込)
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「脳」の究極の謎に挑む
[レビュアー] 鈴木裕也(ライター)
ラマチャンドランは、詩人・ランボーや音楽家・リストなど、芸術家には共感覚の持ち主が多いことから、考察をさらに深めていく。それが、人間を人間たらしめている言語や芸術と、脳の仕組みや働きとの関係につながっていくのだ。
その鍵を握るのがミラーニューロンだという。サルにもあるこのニューロンがなぜヒトで高度に発達したのか。その推論の過程こそ、まさに本書の読みどころ。まるでミステリー小説を読むかのような「謎解きの快楽」の連続である。
本書で提示される考察は、どんなに確からしく感じられようとも、あくまで推論である。文中には「かもしれない」「可能性がある」「ひょっとすると」などの語が頻繁に現れるが、もどかしさは微塵も感じられない。もっとも、これ以上先の「真実」は知らなくてもいい「神の領域」なのかもしれない。