日本人は何を捨ててきたのか [著]鶴見俊輔、関川夏央

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日本人は何を捨ててきたのか

『日本人は何を捨ててきたのか』

著者
鶴見 俊輔 [著]/関川 夏央 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784480096999
発売日
2015/10/07
価格
1,320円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

日本人は何を捨ててきたのか [著]鶴見俊輔、関川夏央

[レビュアー] 渡邊十絲子(詩人)

 明治国家というよくできた装置が、日本人の精神のありかたを変えた。それまでは自由な個人だったが、「日本という樽の船」に守られて外洋に出るようになった。それが成功したので、以後「樽」は信奉され、その部品としての「優等生」ばかりが量産される。優等生は、先生の用意した「正解」を探し当てることに巧みだが、正解のない問題を考えるすべを知らない。

 世代の違う、したがって経験も視点も違うふたりの対話だ。埴谷雄高から東国原英夫まで、日本人を広角でとらえる批評と、百年単位の展望。思想家鶴見俊輔は、人気漫画『寄生獣』をいかに読んだか。体温と肉声の伝わる名編集である。

新潮社 週刊新潮
2015年11月26日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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