『ずっと、ウチのハナちゃん』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
伊吉書院類家店「三毛猫ハナちゃんと再び会える」【書店員レビュー】
[レビュアー] 伊吉書院類家店(書店員)
『謎のあの店』や『荒呼吸』などの、普段の生活を一味違う視点からのぞいた味わい深いコミックエッセイで人気の松本英子さん。その一方でたいへんな愛猫家でもある松本さんが、愛猫ハナちゃんとの日々を描いた『ウチのハナちゃん』シリーズ第2弾です。
1冊目の『ウチのハナちゃん』では子猫の頃からたいへんに暴れん坊で気性の激しかったハナちゃんでしたが、2冊目のこの本ではゆっくりとおばあちゃんになって、そしてお山に帰ってしまうまでの日々が綴られています。
松本さん母娘に常に全力で慈しまれて、そしてこれからもずっと愛されていくハナちゃんの姿が耳やしっぽの表情まで丁寧に描かれていて、読んでいるだけで自分もハナちゃんと一緒に暮らしているような錯覚をおぼえます。
猫にかぎらず、愛する存在との別れは誰もが経験することです。
それはとても悲しいことですが、幸せだった日々を懐かしく思い出してほほえんだり、時には存分に泣き、生きるということを満喫しようという松本さんの思いも心に染みます。
そしてこの本の最大の見所は、表紙と、カバー裏のイラストです。特にカバー裏の、松本さんとハナちゃんとのやさしい時間をそのまま切り取ったようなイラストは必見です。