『墓頭』
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墓頭 [著]真藤順丈
[レビュアー] 若林踏(書評家)
一九五五年、頭に双子の片割れの死体が埋まったこぶを持った子供が生まれる。後に「墓頭(ボズ)」と呼ばれるその男は、たった一つの命題を背負いながら混沌とするアジアを渡り歩いていた。その命題とは「頭の中の死体をどうやって取り出すか?」ということ。行方不明の父を探すうちに「墓頭」の存在を知った“僕”は、その生涯を追い始める。
血と暴力にまみれた男の一代記を、激動の現代アジア史とともに描いた異形の暗黒小説だ。多大な犠牲を払いながら自らの宿命に抗う「墓頭」の荒々しく、猛々しい姿はあまりにも鮮烈。負の魅力が詰まった、現代小説屈指のダークヒーローにノックアウトされる。