『民社育ちで、日本が好き』寺井融著
[レビュアー] 産経新聞社
平成6年に新進党結成に向けて民社党が解党してから20年超の歳月が過ぎた。「55年体制」において自民、社会両党のはざまで、小勢力ながら現実路線に立って独特の存在感を発揮した民社党を評価する声は今も根強い。
著者は、解党までの23年間にわたり民社党本部職員を務めたが、同党の気風やそこに関わった人々について本書で生き生きと振り返っている。さまざまなエピソードが書きとめられているが、国会議員と職員による「無礼講」の宴会がしばしば開かれていたという話からも同党のおおらかで自由闊達(かったつ)な空気が伝わってきた。(展転社・1370円+税)