【児童書】『ふまんがあります』ヨシタケシンスケ著
[レビュアー] 村島有紀
■奇想天外な「りゆう」たち
「どうして一緒に外で遊んでくれないの?」「どうしてお風呂に入る時間を大人が勝手に決めちゃうの」…と、繰り出される質問に、パパが次々に答える。おしゃまな女の子目線で大人を糾弾する絵本…ではありません。子供の「ふまん」をなだめるためにひねり出された奇想天外な「りゆう」の数々。ゲラゲラ笑い転げること請け合いだ。3月発売の『りゆうがあります』に続くシリーズ。前作同様、想像力豊かなヨシタケワールドが展開する。
子供からみると、大人というのは確かに「ズルい」かもしれない。大人にもそれなりの都合と理由があるのだが、子供から納得と同意を得るのは意外に難しく、結局「あれしなさい」「これしなさい」と問答無用になりがちだ。
では、これだけ面白い理由なら、子供は納得してくれるだろうか。いやいや、それほど甘くはないだろう。読後に、ますます「パパ、ずるい!」の声が聞こえてきそうで、ちょっとコワイ。(PHP研究所・1300円+税)