『皇后の真実』工藤美代子著
[レビュアー] 産経新聞社
明治以降、民間から初めて皇室に入られた美智子さま。本書はその足跡を、雑誌や新聞記事、関係者の日記などから克明にたどり、皇后陛下の実像に迫っている。婚約発表時の朝日新聞号外にドレス姿の写真が掲載された真相、三島由紀夫とのお見合い説の否定など、新たに「正田家関係者」に取材した事実も明かされる。
著者は、皇后陛下が子供の頃、夫のため入水した弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)の物語を読み、「愛と犠牲」の不可分性に畏怖を覚えられたというエピソードを繰り返し引く。戦没者や被災者への祈りに全霊を傾けるお姿の源を、「愛と犠牲」の心に見ている。(幻冬舎・1700円+税)